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2 奇数次と偶数次の分離について

[1] では、(1) の分子を 奇数次と偶数次の項に分離して、奇数次の方は $x^2+1=u$、 偶数次の方は $x=\tan\theta$ と置換するか、 または部分積分を利用する方法を紹介している。

しかし、いずれにせよ

\begin{displaymath}
\frac{x}{(x^2+1)^m},\hspace{1zw}\frac{1}{(x^2+1)^m}
\end{displaymath}

の形に直すのであるから、まずそのように整理するのがよいだろうと思う。 よって、まず、
「分子に $x^2=u-1$ を代入して、それを展開して $x$ の一次式に整理する」
ということを行う。 ただし、$x$ の奇数次の項には、$x$ を一つだけ残して、 他の偶数次部分にのみ代入することとする。 それにより、分子は $x$ に関する 1 次式となる。

以下、

\begin{displaymath}
f(x) = \frac{3x^5-6x^4+x^3-x^2+3x-7}{(x^2+1)^3}
\end{displaymath}

を例に取って計算する。

\begin{eqnarray*}分子
&=&
3x(u-1)^2-6(u-1)^2+x(u-1)-(u-1)+3x-7
\\ &=&
x(3u...
...1+3) + (-6u^2+12u-6-u+1-7)
\\ &=&
x(3u^2-5u+5) + (-6u^2+11u-12)\end{eqnarray*}

よって、

\begin{eqnarray*}f(x)
&=&
\frac{x(3u^2-5u+5)}{u^3} + \frac{-6u^2+11u-12}{u^3}...
...\right)
+\left(-\frac{6}{u}+\frac{11}{u^2}-\frac{12}{u^3}\right)\end{eqnarray*}

となる。


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竹野茂治@新潟工科大学
2006年6月2日