7 2 変数の合成関数の微分法による証明

次に、2 変数関数の合成関数の微分法による証明を紹介する。 これは、2 変数関数の合成関数の微分法と、 $1/x$ の導関数を必要とするので、 通常の講義で 1 変数関数の商の導関数の説明に使うのは無理であるが、 計算は 5 節の積と合成関数の説明よりも少し簡単になる。

まず、2 変数関数 $F=F(X,Y)$ に対して、それに $X=f(x)$, $Y=g(x)$ を 代入した合成関数 $h(x)=F(f(x),g(x))$ の導関数は、

$\displaystyle h'(x)
= F_X(X,Y)f'(x)+F_Y(X,Y)g'(x)
= F_X(f,g)f'+F_Y(f,g)g'
$

であることに注意する。今、$F(X,Y)=X/Y$ の場合を考えると、 $h(x)=f(x)/g(x)$ であり、

$\displaystyle F_X(X,Y)=\left(\frac{X}{Y}\right)_X = \frac{1}{Y},
\hspace{1zw}
F_Y(X,Y)=\left(\frac{X}{Y}\right)_Y = -\,\frac{X}{Y^2}
$

となる。この後者に、$1/x$ の微分を使用している。これにより、

$\displaystyle h'
=\frac{1}{g}\,f'+\left(-\,\frac{f}{g^2}\right)g'
= \frac{f'g-fg'}{g^2}
$

が得られる。

2 変数関数によって分子と分母を別々に考えることができ、 5 節の積の微分の部分が必要なくなり 少し計算が易しくなるが、実質的には同じことをやっていることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-10-21