2 教科書の証明

まずは、教科書 [3] に書いてある証明 (p33) から。
\begin{eqnarray*}\lefteqn{(f(x)g(x))'
\ =\
\lim_{\Delta x\rightarrow 0}\frac{...
...ghtarrow 0}\frac{\Delta g}{\Delta x}
\\ &=&
f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\end{eqnarray*}
教科書の式に比べて 3 行目, 5 行目の式を追加しているところが違うが、 実質的に同じものである。

この証明の鍵は、2 行目の部分の真ん中で、 分子に $f(x)g(x+\Delta x)$ を引いてそして同じものを足す (結果として 増減なし)、という式を追加することで、 分子に $\Delta f$, $\Delta g$ を作り、 そこから積の微分の式が得られているのであるが、 これは初学者には思いつかない技巧的な方法で、 自然に積の微分の公式が得られる、という方法ではないように思う。

なお、この証明は、むしろ定義 (3) の式を用いた方が 式としては見やすくなる。

\begin{eqnarray*}\lefteqn{(f(x)g(x))'
\ =\
\lim_{t\rightarrow x}\frac{f(t)g(t...
...t\rightarrow x}\frac{g(t)-g(x)}{t-x}
\\ &=&
f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\end{eqnarray*}
といった具合で、$x+\Delta x$ (教科書の場合は $x+h$) が出てこないので、 少し式自体が短くなり見やすいだろう。

竹野茂治@新潟工科大学
2021-11-08