3 巾乗と三角関数の積の積分
次は、 と , の積の積分を考える。
これも、大まかな方針は、部分積分を繰り返して、
巾乗の方の次数を一つずつ下げることで、
最終的に三角関数のみの積分に帰着させることである。
一般的な式を求める方法はいくつか考えられるが、
例えば以下のようなものがある。
- 2 節の (4) のように、
部分積分により漸化式を作り、そこから求める
- 2 節の
のような関数を見つけて、
積の微分により求める
- 複素数を利用して、三角関数を複素指数関数で表現することで、
(7) を利用して求める
ただし、
,
の部分積分は、
毎回の部分積分で、 と が交互に入れ替わるので、
1. の方針では 2 節ほど簡単ではない。
本節ではまずそれを考えてみる。
(
11)
とすると、これも当然
(
12)
となって の場合に帰着される。
部分積分により、
となるので、
(
13)
となり、漸化式に と が混在するので 2 節
よりはだいぶ厄介になる。
その回避策としては、例えばもう 1 段下げて と の関係式にする、
という手がある。
となるので、
と、ひとつ跳んだ形ではあるが、 と が混在しない
漸化式が得られるので、あとは
が奇数か偶数かで場合分けすれば , の
一般的な式を得ることができる。
ただし、その場合分けも含めて、
その一般的な式は 2 節のものよりはだいぶ複雑に
なる (が、これも不思議と , のマクローリン展開に
似た形になる)。
それを解消する方法として、さらに次のような手がある。
(
16)
とすると、これは、
(
17)
となるので、 は , を特別な場合として含んでいて、
つまり , を一般化したものとも見ることができる。
を部分積分すると、
となるが、
より、
(
18)
となり、
なので、結局
(
19)
が得られる。一般の の場合も、
となる。
例えば、これを簡単なものに適用すると、(17), (19) より
のようになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2020-03-12