例えば一変数の関数の場合、 と書くが、 この場合、 は従属変数、 つまり (独立変数) の値の変化によって値が変わるものを意味し、 関数 の値域の集合のある値を取る変数であって関数ではない。
それに対して右辺の の方は、 が関数名であり、 その関数に という値を代入した状態を意味している。 名前の後に と書くのは、その名前のものが関数であることを表している。 は の式であるが、本来 自体が の式なのではなく、 はその の式によって値が定まるものである。
つまり 自体は、その の値が代入されるが、 関数ではなく変数であるから普通 とは書かない。
それと同様で、 と書けば、それは は、関数 の の値によって決定する値が代入される変数 (従属変数) を意味し、 自体は関数ではない。
だから本来は ではなく、 と書くべきで、 もし元の問題が のように与えられたのであれば、 講義中に説明した通り、一度「この右辺を とすると」と書いて、 という関数記号を導入した上で と書くべきである。
ただし、一変数関数の場合の 自体、あるいは二変数関数の 自体を 関数と見ることは絶対にないかというと、 それには伝統に根ざした例外があり、実は や という記号は、本来 自体が の関数である、あるいは 自体が の関数であると見なした書き方である。
だから、必ずそういう見方はしない、というわけでもないが、
今回このような書き方が見られたのは接平面の問題であって、
接平面の場合は、 という 3 次元の座標系でのグラフを扱うので、
を関数と見ると、それが軸の名前なのか、関数の名前なのかがややこしく、
そのように接平面の式を書いてしまうと
1 つの問題の中で、1 つの記号が 2 つの意味を持つような記法は 避けるべきであるから、この問題ではやはり、 「この右辺を とすると」と書くべきだと思う。