2 極限による通常の定義

現在、導関数の定義は、極限を用いて、
\begin{displaymath}
f'(x) = \lim_{\Delta x\rightarrow 0}\frac{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}\end{displaymath} (1)

のように行われる。 しかし、それによって通常行われる積の微分、商の微分の証明は、 やや見通しが悪いように思う。 例えば積の微分は、通常以下のように行われる。
\begin{eqnarray*}\lefteqn{(f(x)g(x))'
=
\lim_{\Delta\rightarrow 0}\frac{f(x+\D...
...{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}\,g(x)
\\ &=&
f(x)g'(x)+f'(x)g(x)\end{eqnarray*}


この途中の変形は、やや不自然に見えて、あまりわかりやすい証明とは 言えないと感じるが、以下のようにすると多少は改善すると思う。
\begin{displaymath}
\Delta f=f(x+\Delta x)-f(x),
\hspace{0.5zw}\Delta g=g(x+\Delta x)-g(x)
\end{displaymath}

とすると、 $f(x+\Delta x) = f(x) + \Delta f$, $g(x+\Delta x) = g(x) + \Delta g$ で、
\begin{displaymath}
\lim_{\Delta x\rightarrow 0}\frac{\Delta f}{\Delta x}=f'(x),...
...zw}\lim_{\Delta x\rightarrow 0}\frac{\Delta g}{\Delta x}=g'(x)
\end{displaymath}

より、
\begin{eqnarray*}\lefteqn{(f(x)g(x))'
=
\lim_{\Delta\rightarrow 0}\frac{f(x+\D...
...\frac{\Delta f}{\Delta x}\Delta g\right)}
=
f(x)g'(x)+g(x)f'(x)\end{eqnarray*}


となる、というやり方である。 これなら、途中の計算は自然に展開するだけなので、 よりわかりやすいだろうと思う。

実は、この方法は「無限小」による証明に近い手法である。

竹野茂治@新潟工科大学
2015年12月7日