3 三角関数

次は、$y=A\sin x$ ($A>0$) の $[0,a]$ $(0<a\leq \pi/2$) の範囲の 曲線長 $L=L_2(a,A)$ を求めてみる。

$y=A\sin x$ は、$[0,\pi/2]$ の部分の形が繰り返されるので、 上の範囲の長さがわかれば、他の部分の長さも自然に求められるし、 $x$ 方向のスケール変換も入った $y=A\sin Bx$ の長さについては、 全体を $B$ 倍した $y=AB\sin x$ の長さを求め、 それを $1/B$ 倍すればよいので、$L_2(a,A)$ だけ考えればよい。

この場合は、$y'=A\cos x$ より、

  $\displaystyle
L_2(a,A) = \int_0^a\sqrt{1+A^2\cos^2 x}\,dx$ (11)
となるが、これは、
$\displaystyle L_2(a,A)$ $\textstyle =$ $\displaystyle \int_0^a\sqrt{1+A^2-A^2\sin^2 x}\,dx
\ =\ \sqrt{1+A^2} \int_0^a\sqrt{1-\frac{A^2}{1+A^2}\sin^2 x}\,dx$ 
  $\textstyle =$ $\displaystyle \sqrt{1+A^2}E\left(a,\frac{A}{\sqrt{1+A^2}}\right)$(12)
と書ける。ここで、$E(\phi,k)$ は、
  $\displaystyle
E(\phi,k) = \int_0^\phi\sqrt{1-k^2\sin^2 t}\,dt
\hspace{1zw}(0<k<1)$ (13)
で定義される「第 2 種楕円積分」と呼ばれるもので、 簡単な関数で表せないとして知られている。 よって、$L_2(a,A)$$E(\phi,k)$ を用いて (12) のように 表すことができるが、これ以上易しい式で表すことはできない。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-12-11