2 放物線
まずは放物線 の () の範囲の曲線長 を
求めてみる。
なお、 は を 方向に 倍したものだが、
の での曲線長 は、
の での曲線長 の 倍にはならない、すなわち
である
ことに注意する。
それは 方向の拡大は、傾きが大きいときには曲線長に大きく影響するが、
傾きが小さいときは小さくしか影響しないため、
曲線長に対しては場所によって 倍の影響が異なってしまうからである。
ただし、後で示すように放物線の場合は は に
帰着される。
また、 に対する がわかれば、
対称性から での放物線の曲線長は に等しいので、
に対して
(2)
と定義することにすれば、 での長さは常に
と
表されることになる。それは、
の場合は での長さは
となり、また の場合は での長さは、
となるからである。
また、 に対しては、対称性より
(3)
となるので、 の場合のみ考えればよい。
よって、以後は , と仮定する。
さて、 に対しては なので、(1) より
(4)
となる。この積分を と置換すれば、
となるが、この式は、
(5)
を意味し、よって は に帰着できることがわかる。
なお、すべての曲線に対しこのようなことが成り立つわけではない。
よって以後しばらくは、
(6)
を考える。この積分も易しくはないが、
置換積分で計算が可能である。よく知られているように、
と置換すると鮮やかに一度で計算できるのだが、
ここではよりシンプルな三角関数の 2 回の置換で計算する。
まず、 (
) と置換すると、
であり、 は
に対応するので、
となる。ここで、 と置換すると、
で、
のときは、
より
となるので、
(8)
となる。
ここで、
なので、
となり、
のとき、
となるので、よって、 に対し、
(9)
が得られる。一般の () に対しては、
(5), (9) より
(10)
となる。
なお、この式では、 に対して
が成り立ち、よって (10) は
自然に (2) の関係も満たすことがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-12-11