4 1 以下の勾配への帰着

次に、1 以下の $H$ に帰着させることを考える。 そのためには、公式
\begin{displaymath}
\tan\left(\frac{\pi}{2}-\phi\right)=\frac{1}{\tan\phi}\end{displaymath} (4)

や、$\tan$ の加法定理
\begin{displaymath}
\tan(\alpha+\beta)=\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha...
...alpha-\beta)=\frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta}\end{displaymath} (5)

を用いる。公式 (4) は
\begin{displaymath}
\tan\left(\frac{\pi}{2}-\phi\right)
=\frac{\sin(\pi/2-\phi)}{\cos(\pi/2-\phi)}
=\frac{\cos\phi}{\sin\phi}
=\frac{1}{\tan\phi}
\end{displaymath}

より得られるし、また $\tan$ の加法定理は、 $\sin$, $\cos$ の加法定理から以下のようにして容易に得られる。
\begin{eqnarray*}\tan(\alpha+\beta)
&=&
\frac{\sin(\alpha+\beta)}{\cos(\alpha+...
...}
%\\ &=&
=
\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}\end{eqnarray*}


(4) より、 $0<\theta<\pi/2$ に対して ($H>0$)

\begin{displaymath}
\tan\left(\frac{\pi}{2}-\theta\right)
=\frac{1}{\tan\theta}
=\frac{1}{H}
\end{displaymath}

であるから、
\begin{displaymath}
\frac{\pi}{2}-\theta=\arctan\frac{1}{H}\end{displaymath} (6)

と求められることになる。 すなわち、 $H>0$ のときは (3) と (6) の どちらを用いても $H$ から $\theta$ を求めることができるので、 $H$$1/H$ の小さい方を使って求めればよいことになる。

よって、$H>1$ ならば、$H_2=1/H (<1)$ に対して

\begin{displaymath}
\theta_2=\arctan H_2
\end{displaymath}

とすれば、 $\theta=\pi/2-\theta_2$ として求められるし、 $H\leq 1$ ならそのまま (3) で求めることにすれば、 これで、$\arctan H$ の計算はどちらにしても $0\leq H\leq 1$ の場合に帰着されることになる。 そしてこの場合は $\theta$ $0\leq\theta\leq\pi/4$ となる。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年1月18日