回転変換を直交行列で表現すること、およびその逆の直交行列から回転変換の 軸と角を求める方法は 5 節で考察し、 直交行列を軸回転行列で表現することは 6 節で考察したが、 回転変換を 6 節のような 3 つの軸回転行列の 合成で表現することは実はそれほど容易ではない。 もちろん、5 節、6 節の話をつなげて、 途中に直交行列を介在することで、回転変換を直交行列で表してそれを 軸回転行列で表すことは原理的には不可能ではないが、 あまり綺麗にはならない。
例えば、6 節の最後に述べた方法で、
回転変換の表現行列 (41) から
軸回転の角 を求めようとすると、
例えば、逆に (44) から回転変換の 回転軸ベクトル を計算することも一応はできるが、 これもあまり綺麗な式にはならない。それを少し紹介する。 (44) の回転軸ベクトルを とすると、
より、
の場合は、 より
と
なり、
で
であれば、
なので、(47) は
(49), (50) により回転軸 ベクトル を (46) の 軸回転角 で表すことができ、 まだ多少の変形は可能ではあるが、 あまり綺麗な形にはならないことがわかるだろう。 つまり、(44) の形と回転変換は あまり相性がよくない。
しかし、「3 つの軸回転行列の合成での表現」という制約を取り除けば 回転変換を軸回転行列で表現することは比較的容易である。
回転軸ベクトル を の形で表せば、 図 3 の の回りの 回転は、
計算はかなり煩雑なので省略するが、 これを展開すると、実際 (51) が (41)、すなわち (40) に 一致することを確認することもできる。
竹野茂治@新潟工科大学