それは、これが座標系の取り方 (右手系、左手系) にも関係し、 単純に成分だけから得られるものではないことに起因する。 例えば、もし座標系を左手系にとると、ベクトル (1) は 「左ねじを回して進む向き」を持つベクトルとなってしまう。 つまり、外積の向きが右ねじの進む向きである、 ということの説明には、座標系が右手系である、 という事実を用いないと説明ができないことになる。
これを示す方法としては、例えば を を中心に 90 度右回りに回転して (それは行列の積により記述できる)、 それを とするとき、 が と の間に入ること、 すなわち であることを言う、 というものが考えられる。 しかし、この方法は「 を中心として 90 度右回り回転させる行列」 を求めるのが難しい (もちろんこの行列も座標系が右手系かどうかによる)。
多分、この向きに関しては、 具体的な簡単なベクトルで確認してもらうのが一番楽だろうと思うし、 わかりやすいのではないかと思う。 しかしそれでは説明したことにはならないので、 以下に、[2] にある説明を紹介する。
今、 と を回転や拡大縮小などを用いて、 それぞれ , (すなわち 軸方向、 軸方向の単位ベクトル) になるように連続的に変形することにする。 そして、その変形の途中ではそれらが平行にはならず、 しかもいずれも にはならないようにし、 さらに と のなす角も、 元の角度から 90 度までの間のみ変形させることにする。
そうすると、(1) は , の成分に関して 連続的に変化し、上の変形の条件により一度も にはならないから、 , の含まれる平面に 常に垂直なベクトルである (1) は、 この平面の表側から裏側へ抜けることはできない。 よって、 , と (1) が 右手系であるか左手系であるか、 すなわち (1) が から へ 右ねじを進んで進む向きであるかその逆向きであるか、 という性質は、このような連続的な変形では不変なはずである。
そして、
竹野茂治@新潟工科大学