2 外積の定義と成分

教科書 [1] による外積 $\mbox{\boldmath$a$}\times\mbox{\boldmath$b$}$ の定義は 以下の通りである。

  1. $\mbox{\boldmath$a$}\times\mbox{\boldmath$b$}$ の大きさは、 その 2 つのベクトルが張る平行四辺形の面積に等しい。
  2. $\mbox{\boldmath$a$}\times\mbox{\boldmath$b$}$ の方向は、 $\mbox{\boldmath$a$}$, $\mbox{\boldmath$b$}$ に垂直で、 $\mbox{\boldmath$a$}$ から $\mbox{\boldmath$b$}$ に 右ねじを回して進む向きである。

一方、成分による計算式は以下のようになっている。

\begin{displaymath}
\left[\begin{array}{c}a_1\ a_2\ a_3\end{array}\right]\tim...
...a_2b_3-a_3b_2\ a_3b_1-a_1b_3\ a_1b_2-a_2b_1\end{array}\right]\end{displaymath} (1)

教科書では、定義 1., 2. を元に 基本ベクトル同士の外積を計算し、積に関する分配法則を示した上で、 成分の式 (1) を示している。 本稿では逆に (1) を外積の定義と考え、 そこから 1., 2. を示すことを目標とする。

なお、ベクトル $\mbox{\boldmath$a$}$ $\mbox{\boldmath$b$}$ が平行な場合は、 $\mbox{\boldmath$b$}=k\mbox{\boldmath$a$}$ と書けるか、または $\mbox{\boldmath$a$}=\mbox{\boldmath$0$}$ となるので、 それを (1) に代入すればいずれの場合も $\mbox{\boldmath$0$}$ になるし、 また、このときは 1. も面積が 0 となり、 それは $\mbox{\boldmath$a$}\times\mbox{\boldmath$b$}=\mbox{\boldmath$0$}$ を意味するから その場合は考えなくてよい。

よって、以後は $\mbox{\boldmath$a$}$ $\mbox{\boldmath$b$}$ とは平行ではないとして考えることとする。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年5月26日