まずは、固有値 0 に対する固有空間の次元、基底に関する性質から。
, が部分空間であることは容易。
( ) に対し、 の成分は実数なので、 と は同値なので、 と は同値となる。 よって、 の基底を とすると、 は より、 は の線形結合で表され、
一方、 と すると、
が での正規直交基底であれば、
(),
なので、それは でも
正規直交基底となる。
エルミート行列、歪エルミート行列の固有値は 補題 3.3 の ような性質を持っていたが、その固有ベクトルには次のような直交性が あることも知られている。
1. の固有値 , と それぞれの固有ベクトル , を取ったとき、 ならば となることを示す。
まず がエルミート行列の場合、
次は、 が歪エルミート行列の場合。上と同様に計算すると、
2. を対称行列とし、 の固有値 , (実数) と それぞれの (実) 固有ベクトル , を取ったとき、 ならば となることを示せばよいが、それは上の計算にすべて含まれる。
さて、補題 3.3 より交代行列 の固有値は 0 か または純虚数であり、 は実数係数の方程式だから、 (, ) が の解なら、 必ず も解となる。 よって、 の固有値は、
以下で、交代行列をこの標準形に直すことを考える。
竹野茂治@新潟工科大学