5 列の入れ換え


定理 5

$A$$i$ 列目と $j$ 列目を入れかえた行列 $\tilde{A}$ ($i<j$) に対して、

\begin{displaymath}
\vert\tilde{A}\vert=-\vert A\vert
\end{displaymath} (13)


これも、定理 3 と同様にして示される。

4 節と同様の計算によって $i$ 列と $j$ 列 ($i<j$) での展開を行えば、

\begin{eqnarray*}\vert A\vert
&=&
\sum_{p=1}^n (-1)^{p+j}a_{pj}\Delta_{pj}(A)...
...-1}\sum_{k=p+1}^{n} (-1)^{p+j+k+i-1}a_{pj}a_{ki}\Delta_{pj,ki}(A)\end{eqnarray*}


となる。 ここで、簡単のため、 $\displaystyle \sum_{p=2}^n \sum_{k=1}^{p-1}$ $\displaystyle \sum_{p=1}^{n-1} \sum_{k=p+1}^n$ を、それぞれ $\displaystyle \sum_{p>k}$, $\displaystyle \sum_{p<k}$ と書くことにすれば、
\begin{displaymath}
\vert A\vert
=\sum_{p>k} (-1)^{p+j+k+i}a_{pj}a_{ki}\Delta...
...ki}(A)
-\sum_{p<k} (-1)^{p+j+k+i}a_{pj}a_{ki}\Delta_{pj,ki}(A)\end{displaymath} (14)

となる。

$\tilde{A}=[\tilde{a}_{pq}]$ にこの (14) と同じ計算を行えば、

\begin{displaymath}
\vert\tilde{A}\vert
=\sum_{p>k} (-1)^{p+j+k+i}\tilde{a}_{pj...
...{p+j+k+i}\tilde{a}_{pj}\tilde{a}_{ki}\Delta_{pj,ki}(\tilde{A})
\end{displaymath}

となるが、$\tilde{A}$ は、$A$$i$ 列と $j$ 列を入れ換えた行列であるから、
\begin{displaymath}
\tilde{a}_{pj}=a_{pi},
\hspace{1zw}\tilde{a}_{ki}=a_{kj},
\h...
...}\Delta_{pj,ki}(\tilde{A})=\Delta_{pj,ki}(A)=\Delta_{kj,pi}(A)
\end{displaymath}

であり、よって
\begin{displaymath}
\vert\tilde{A}\vert
=\sum_{p>k} (-1)^{p+j+k+i}a_{pi}a_{kj}\...
...pi}(A)
-\sum_{p<k} (-1)^{p+j+k+i}a_{pi}a_{kj}\Delta_{kj,pi}(A)
\end{displaymath}

となる。この $p$$k$ を入れ換えて書けば、
\begin{eqnarray*}\vert\tilde{A}\vert
&=&
\sum_{k>p} (-1)^{k+j+p+i}a_{ki}a_{pj...
...
-\sum_{k>p} (-1)^{p+j+k+i}a_{pj}a_{ki}\Delta_{pj,ki}(A)\right\}\end{eqnarray*}


となるが、(14) よりこれは $-\vert A\vert$ に等しい。 これで定理 5 が証明されたことになる。

また、この定理 5 より、次のこともすぐにわかる。


6

2 つの列が等しい行列式の値は 0 となる。


竹野茂治@新潟工科大学
2006年12月8日