3 2 次の正方行列の累乗の逐次計算
ケイリー・ハミルトンの公式 (1) を用いると、
2 次の正方行列の累乗 を、
行列の積を用いずに行列のスカラー倍と和だけで計算することができる。
例えば、
(3)
に対しては、
(1) より
、
すなわち
(4)
が成り立つので、
と、行列の積を用いずにスカラー倍と和のみで が求まる。
は、(4) の両辺を 倍して、
となるが、これに再び (4) を代入すれば、
となり、よって
と求まる。 も同様に
となるので、積を計算せずにスカラー倍と和のみで が計算できる。
以下同様にして、 はすべて
(5)
の形に表せることになる。
なお、この , は、
より、漸化式
(6)
を満たし、これを用いて計算することもできる。
例えば、()=(), ()=(), ()=() といった具合で、
これを利用する方が、前の計算よりはらに少し楽になる。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-11-27