0 以上の実数 、および任意の自然数 に対して、 となる 0 以上の実数 を の 乗根といい、 と書く。
このような が常に、そしてただ一つ存在することは、 関数 の単調性、連続性、 および , で あることから示される。
なお、通常「1 乗根」「2 乗根」なる言葉はあまり使わないが、 それらも 乗根の中に含めることにする。
乗根がただ一つ常に存在することから、次のことが言える。
さて、正の実数 、自然数 に対し、有理数乗 は
と定義される。 ただし、これが正しく「有理数乗の定義」となるためには、 2 つ示さなければいけないことがある。なお、前の自然数乗から整数乗への拡張の場合は、0 や負の整数は自然数と 重なることはなかったため、定義自体に関して考える必要はなかった。
まず、[D1] から考えてみる。 の場合は より、 [R1] と自然数乗に対する [L3] により、
[D2] は、 のときは なので、 とすると、[R1] と自然数乗に対する [L3] により、
自然数 、実数 に対する負の有理数乗 は、
と定義する。これも、正の有理数乗の場合の [D1],[D2] と同様の性質を 満たす必要はあるが、 (14) の分母の が 既に [D1]、[D2] を満たし正しく定義されることが保証されたので、 も同様の性質を持ち、正しく定義されることになる。これで、(13), (14) により 正の実数の有理数乗が矛盾なく定義できることがわかった。
なお、整数乗の場合、底 は 0 以外の実数でよかったが、 有理数乗では正の実数の有理数乗のみを考える。 実は、累乗根自体は、 に対しても、 が奇数の場合は
と考えることがある。 これは、右辺の 乗が確かに になるからであるが、 これを有理数乗に持ちこもうとすると [D2] が満たされない。 例えば、(15) の元では、竹野茂治@新潟工科大学