0 乗と負の整数乗は、実数 に対して
と定義される。なお、 に対しては、 と は定義しない。これにより、 に対してすべての整数乗が定義されたことになるが、 これに対して指数法則 [L1][L5] が成り立つことを示す。 なお一般の整数乗に対する指数法則では次の条件 Z を課す:
条件 Z: は 0 以外の任意の実数、 は任意の整数
この条件の元で [L1][L5] を証明するが、 かつ であれば、 これらは 2 節の指数法則に含まれるので、 そうでない 、すなわち少なくとも一方が 0 以下であるものに対して 示せばよい。
まず最初に自然数に対する [L2] が、 の制限なしに成り立つこと、 すなわち任意の自然数 と、実数 に対して、
が成り立つことを先に示す。 これは、 に対しては 2 節で既に示してあるので、 に対して成り立つことを示せばよい。なら (4) の両辺は、 (3) によりともに 1 になるので成立する。 なら、2 節より、
まず [L1] から考える。 の場合は、(3) より両辺ともに と なるので成立する。 の場合も同様に成立する。よってあとは、
(ア) かつ の場合、(イ) かつ の場合、 (ウ) かつ の場合の 3 通りを考えればよい。なおこの場合分けも今後よく用いる。 また、 の場合は 、 の場合は とする。 この書き方も今後よく用いる。 となるので [L1] は成立する。(イ) の場合も同様で、 となり成立する。最後に (ウ) の場合は、(3)、 および自然数乗の [L1] により、 となって成立する。これで [L1] が示された。
また、[L2] は、2 節の (1) の やり方で [L1] から示される。
次は [L3]。 または の場合は、(3) によりそれぞれ
となって左辺は 1、右辺も (3) により 1 になるので 成立する。よってあとは、[L1] と同じ (ア)(イ)(ウ) の場合に示せばよい。まず、(ア) の場合は、(3)、 および自然数乗に対する [L5],[L3] より、
となって成立する。(イ) の場合は、(3)、 および自然数乗に対する [L3] より、 となり成立する。最後に (ウ) の場合は、(3)、 および自然数乗に対する [L5],[L3] より、 となって成立する。これで [L3] が示されたことになる。次は [L4]。 に対して示せばよいが、 のときは、 (3) より両辺ともに 1 となって成立する。 の場合は、(3)、 および自然数乗に対する [L4] より、
となって成立する。[L5] は、2 節の (2) の論法により [L4] から得られる。
これで、一般の整数乗の指数法則 [L1][L5] が すべて成立することが示された。
竹野茂治@新潟工科大学