4 公式による計算

本節では、(10) による $\hat{f}_k$ の計算例を紹介する。
\begin{eqnarray*}\hat{f}_0
&=&
t\,\frac{\sin t}{t} \ =\ \sin t,
\\
\hat{f}_...
...t)
\\ &=&
t^3(t^{-3}\sin t-t^{-2}\cos t)
\ =\
\sin t-t\cos t\end{eqnarray*}
となる。なお、$t^3$$-t^{-1}$ をまとめて先に $-t^{-2}$ としなかった のは、次の $\hat{f}_2$ の計算のためであり、この $t^3$ を除いた部分は 次の $\hat{f}_2$ で利用できる。
\begin{eqnarray*}\hat{f}_2
&=&
t^5\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\right)^2(...
...{-5}-t^{-3})\sin t-3t^{-4}\cos t\}
\ =\
(3-t^2)\sin t-3t\cos t\end{eqnarray*}
もちろん、順に計算する場合は、上と同等だがむしろ (9) より 得られる漸化式
$\displaystyle \hat{f}_{k+1}=-t^{2k+2}\left(\frac{\hat{f}_k}{t^{2k+1}}\right)'
$
を使う、という手もある。
\begin{eqnarray*}\hat{f}_3
&=&
-t^6(t^{-5}\hat{f}_2)'
\ =\
-t^6((3t^{-5}-t^...
...^{-5})\cos t\}
\\ &=&
(105-45t^2+t^4)\sin t+(-105t+10t^3)\cos t\end{eqnarray*}
等となる。

これらの微分による計算と、[1] でやったような (4) の漸化式による計算を比較すると、 漸化式の方は微分計算をしないで代入だけで済む分計算は速い。 しかし、漸化式の方は漸化式の公式を確認しながら計算する必要があるが、 こちらの微分計算の方は公式は単純なので、機械的に順に計算して いけるところが少しメリットと言えるかもしれない。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-07-25