4 x→∞ の評価

$H_{\pm }$ は、前節の拡張版も含め $x>1$ ($H_{+}$), $0<x<1$ ($H_{-}$) で は明らかに滑らかな関数だから、その可積分性や有界性は、 境界の評価、すなわち収束 order のみによって決まる。 本節以降、$H_{\pm }$ の境界の評価を考える。 まずは $H_{+}$ $x\rightarrow \infty $ の評価から。

$\alpha>0$, $\beta>0$ に対して、$H_{+}$

$\displaystyle H_{+}(x;\alpha,\beta,\gamma)
=x^{\gamma}\int_0^1y^{\alpha-1}(1-y)^{\beta-1}
\left(1-\,\frac{y}{x}\right)^\gamma dy
$
と変形すると、$x>2$ なら $1/2<1-y/x<1$ より $(1-y/x)^\gamma$ は有界なので、 $x\rightarrow \infty $ に対して ルベーグ収束定理により
$\displaystyle \int_0^1y^{\alpha-1}(1-y)^{\beta-1}
\left(1-\,\frac{y}{x}\right)^...
...rrow
\int_0^1y^{\alpha-1}(1-y)^{\beta-1}dy = \mathop{\mathit{B}}(\alpha,\beta)
$
となるから、よって $x\rightarrow \infty $ に対しては、
  $\displaystyle
H_{+}(x;\alpha,\beta,\gamma)=x^{\gamma}(B(\alpha,\beta)+o(1))$ (17)
となる。

よって、$x$$\infty$ の近くでは、$\gamma\leq 0$ の場合に $H_{+}$ は 有界で、 $\gamma<-1$ の場合に $H_{+}$ は可積分であることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-01-19