2.4 Riemann 問題の解の評価
後で必要となる、Riemann 問題の解の評価をここで行っておく。
今、
を、
と書くこととすれば、Riemann 問題は、
|
(2.14) |
を満たす
を求めることに帰着される。それは陰関数定理によるのであるが、
であり、また
は、
より、
となる。この右辺は正則行列だから、陰関数定理により
方程式 (2.12) を
の近傍で
について解くことができる。
具体的には、ある正数
が存在して、
に対して、
(2.12) を
の形に書き表すことができる。これは 級であり、
を満たす。
必要なら、
を少し小さく取って、
|
(2.15) |
とすることもできる。
であるから、(2.13) より、
,
に対して
|
(2.16) |
と、
を で評価できる。
逆に、
を考えると、ある
を取って
|
(2.17) |
とできるので、
より、
,
に対して
|
(2.18) |
となる。
しかし、
でも、
Riemann 問題の解 (の途中の値) は
の中に収まるとは限らない。
解の途中の値は、
に対して
と表すことができる2。
このとき、(2.14), (2.16)
により、
となるので、
|
(2.19) |
となる
を取れば、
に対し
途中の解の値
は
すべて
に収まることになる。
よって、その途中の値を初期値とするような Riemann 問題を再び解くことが
できることになる。
しかし、今度はその解が
に収まる保証はないので、
これを繰り返していくには
(実際に Glimm の差分ではそのようなことを繰り返すのであるが)、
このような局所的な逐次評価だけでは無理で、
より大域的な評価、アプリオリな評価が必要になる。
また、
は
,
のとき、
であるとは限らないので、
を少し小さくして、
が成り立つようにしておく。これは (2.16) より、
であるので、例えば
|
(2.20) |
としておけば可能である。
さらに、
となるように
を取ることにする。
これは、(2.14) より、
であるから、
|
(2.21) |
であればよい。
ここで、
(2.18) と
(2.19) とから自然に
(2.17) が導かれるので、
結局
,
は
(2.18) と
(2.19) とを満たすように取ればよいことがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学
2009年1月18日