1 はじめに

1 次元のバロトロピックな気体の運動方程式は以下の通り。
  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{l}
\rho_t + (\rho u)_x = 0\\
(\rho u)_t + (\rho u^2 + P(\rho))_x = 0\\
\end{array}\right.$ (1)
ここで、$t$ は時刻、$x\in R$ は位置、 $\rho=\rho(t,x)\ (\geq 0)$ は気体の密度、 $u=u(t,x)$ は気体の速度、 $P=P(\rho)\ (\geq 0)$ は気体の圧力を意味する。

この方程式の Lax-Friedrichs 型差分近似解の有界性は、 通常微分方程式 (1) に対する Riemann 問題の 解の有界性と、 不変領域の凸性を用いて示されることが多いが、 それらを使わずに直接差分式から有界性を示す証明は、 ないわけではないだろうが、あまり見かけない。

その直接証明はかなりわずらわしいが不可能ではなく、 本稿ではそれを紹介する。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-02-28