3 円錐を斜めに切った錐体

まず、簡単な例として、円錐を斜めに切ってできる錐体を考えることにする (図 2)。 これは、底面が楕円になることが知られている ([2] 参照)。
図 2: 円錐を斜めに切った錐体
\includegraphics[width=0.7\textwidth]{fig2-2.eps}

頂点が $\mathrm{P}(0,0,h)$ ($h>0$) で中心軸が $z$ 軸、 $xy$ 平面との交円が

\begin{displaymath}
x^2+y^2\leq a^2\hspace{1zw}(a>0), \hspace{1zw}z=0
\end{displaymath}

となる、下に無限に伸びる円錐に対し、 この円錐を、原点を通って法線ベクトルが
\begin{displaymath}
\mbox{\boldmath$n$}=(\cos\alpha,0,\sin\alpha)\hspace{1zw}\left(0<\alpha<\frac{\pi}{2}\right)
\end{displaymath}

である平面 $H$ で切り出した錐体の側面の展開図を求める。

ここで、 $\mbox{\boldmath$n$}$$xz$ 平面上にある、 $x$ 軸となす角が $\alpha $ のベクトルであり、 この円錐の中心軸 ($z$ 軸) と母線のなす角を $\beta $ とすると (図 3)、

\begin{displaymath}
\tan\beta = \frac{a}{h}\end{displaymath} (1)

であるから、$\alpha $
\begin{displaymath}
0<\beta<\alpha\end{displaymath} (2)

を満たす必要がある。
図 3: $\alpha $$\beta $
\includegraphics[width=0.7\textwidth]{fig2-3.eps}

なお、 $0<\alpha\leq\beta$ の場合は 円錐の側面と $H$ との交曲線は無限に伸びてしまうが、 $\alpha=\beta$ の場合はそれは放物線に、 $0<\alpha<\beta$ の場合はそれは双曲線になることが知られている。

今、$xy$ 平面上の円周 $x^2+y^2=a^2$ 上の点を

\begin{displaymath}
\mathrm{R}=\mathrm{R}(t): (a\cos t,a\sin t,0)\hspace{1zw}(0\leq t\leq 2\pi)
\end{displaymath}

とパラメータ表示し、直線 $\mathrm{OR}$$H$ との交点を $\mathrm {Q}$ とすると (図 (4)、 $\mathrm {Q}$$t$ で表されることになる。 この場合は、$t$ と展開図の中心角との間に比例関係があるので、 展開図を式で表すのは難しくない。
図 4: $\mathrm {P}$$\mathrm {Q}$
図 5: 側面の展開図
\includegraphics[width=0.45\textwidth]{fig2-4.eps} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{fig2-5.eps}

この円錐の側面を線分 $\mathrm{PQ}(0)$ (最長の母線) で切り開いて、 その展開図の中心角 $\angle \mathrm{Q}(0)\mathrm{PQ}(t)$$\theta$ とすると (図 5)、 $\angle \mathrm{R}(0)\mathrm{PR}(t)=\theta$ であり、 $\mathrm{PR}(t)=\sqrt{a^2+h^2}$ なので、 弧 $\mathrm{R}(0)\mathrm{R}(t)$ の長さは 展開図では $\sqrt{a^2+h^2} \theta$ となる。 一方、$xy$ 平面では $\mathrm{R}(0)\mathrm{R}(t)$ は半径 $a$ の円弧であるから、 弧 $\mathrm{R}(0)\mathrm{R}(t)$ の長さは $at$ となる。 よって、

\begin{displaymath}
t=\frac{\sqrt{a^2+h^2}}{a} \theta\end{displaymath} (3)

と、$t$, $\theta$ が比例関係になることがわかる。

後は $\mathrm{PQ}(t)$ の長さ $\rho(t)$ を求めれば、(3) より、 曲線 $C$ の展開図での形は

\begin{displaymath}
r
=\rho(t)
=\rho\left(\frac{\sqrt{a^2+h^2}}{a} \theta\ri...
...e{1zw}\left(0\leq\theta\leq\frac{2\pi a}{\sqrt{a^2+h^2}}\right)\end{displaymath} (4)

と極座標で表現されることになる。

今、

\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+s\overrightarrow{\mathrm{PR}}
=(0,0,h)+s(a\cos t,a\sin t,-h)
\end{displaymath}

とすると、 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\perp\mbox{\boldmath$n$}$ より、
\begin{eqnarray*}\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\cdot\mbox{\boldmath$n$}
&=&
\{(0...
...lpha)
\ &=&
h\sin\alpha+s(a\cos t\cos\alpha-h\sin\alpha)
=
0\end{eqnarray*}


となるので、
\begin{displaymath}
s=\frac{h\sin\alpha}{h\sin\alpha-a\cos t\cos\alpha}
=\frac{h\tan\alpha}{h\tan\alpha-a\cos t}\end{displaymath} (5)

となる。なお、(1), (2) より、
\begin{displaymath}
h\tan\alpha > h\tan\beta = a
\end{displaymath}

なので、(5) の分母は
\begin{displaymath}
h\tan\alpha -a\cos t\geq h\tan\alpha-a >0
\end{displaymath}

である。

(5) より、

\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=s\overrightarrow{\mathrm{PR}}
=\frac{h\tan\alpha}{h\tan\alpha-a\cos t} (a\cos t,a\sin t,-h)\end{displaymath} (6)

となるから、
\begin{displaymath}
\rho(t)=\vert\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\vert
=\frac{h\tan\alpha}{h\tan\alpha-a\cos t} \sqrt{a^2+h^2}
\end{displaymath}

となる。よって、(4) より、
\begin{displaymath}
r=r(\theta)
=\frac{h\sqrt{a^2+h^2} \tan\alpha}{%
h\tan\alp...
...{1zw}\left(0\leq\theta\leq\frac{2\pi a}{\sqrt{a^2+h^2}}\right)
\end{displaymath}

と側面の展開図が極座標表示できることになる。

例えば $\alpha=\pi/4$, $h=\sqrt{3}$, $a=1$ ($\beta=\pi/6$) とすると、

\begin{displaymath}
r=r(\theta)=\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{3}-\cos 2\theta}\hspace{1zw}
(0\leq\theta\leq\pi)
\end{displaymath}

となる。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年9月18日