2 あたるまでひたすらやり続ける場合

今、はずれる確率を $q$ ($=1-p$) とすると、 このくじを 1 回行ったときの期待値 $E_0$ は、
\begin{displaymath}
E_0=pA+q(-B)=pA-qB\end{displaymath} (1)

である。

まずは、1. の、あたるまでひたすらやり続ける場合を考える。

1 回目であたる確率は $p$ で、そのときは $A$ 円もらえる。 1 回目ではずれて、2 回目であたる確率は $q\times p$ で、 そのときは $(-B+A)$ 円もらえる。 同様にして、1 回目から $n$ 回目まではずれて、 $(n+1)$ 回目であたる確率は $q^np$, そのときは $(-nB+A)$ 円もらえる。

よって、この場合の期待値 $E_1$ は、

\begin{displaymath}
E_1
=pA + qp(-B+A) + \cdots + q^np(-nB+A) +\cdots
=\sum_{n=0}^\infty q^np(A-nB)\end{displaymath} (2)

となる。 これは、容易にわかるように、$q<1$ (すなわち $p>0$) ならば収束する 無限級数である。

今、

\begin{displaymath}
S_1
=\sum_{n=0}^\infty q^n(A-nB)
=A+q(A-B)+q^2(A-2B)+q^3(A-3B)+\cdots\end{displaymath} (3)

とすると $E_1=pS_1$ であり、(3) の両辺を $q$ 倍すると、
\begin{displaymath}
qS_1=qA+q^2(A-B)+q^3(A-2B)+\cdots\end{displaymath} (4)

となるので、(3) から (4) を引き算すれば、
\begin{displaymath}
(1-q)S_1
=A-qB-q^2B-q^3B-\cdots
=A-\frac{qB}{1-q}
\end{displaymath}

を得る ($0<q<1$)。ここで、$1-q=p$ であるから、
\begin{displaymath}
pS_1=A-\frac{qB}{p}=\frac{pA-qB}{p}=\frac{E_0}{p}
\end{displaymath}

となり、よって
\begin{displaymath}
E_1=pS_1=\frac{E_0}{p}\end{displaymath} (5)

となる。

竹野茂治@新潟工科大学
2007年4月28日