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3.1 収束半径
2.2 節の議論により、
となるような
が存在すればこのベキ級数は、
この条件が満たされる
に対して絶対収束する。
このような級数
をこのベキ級数 (8) の優級数 という。
今、もし
である場合、
であるから、ダランベールの判定法により
、すなわち
のときベキ級数 (8) は絶対収束し、
のときは発散することがわかる。
つまり、0 を中心として、
の範囲で収束することになるが、
一般に、次のことが言える。
定理 11
どんなベキ級数 (8) に対しても、
ならば絶対収束、
ならば発散
となるような
が存在する。
ただし、
のときは、
以外では収束しない (
ならば発散)、
のときは、すべての
に対して収束する (
ならば収束)
ことを意味する。
この
を、このベキ級数の 収束半径 と呼ぶ。
であるようなベキ級数としては、例えば
があるし、
であるようなベキ級数としては、例えば
がある。前者は
となるので、
ならばこのベキ級数は収束しない。後者は
となるので、どんな
に対しても絶対収束する。
収束半径は、一般に次のような式であらわされることが知られている:
式の意味も含めて、詳しいことに関しては、解析学の詳しい本、
あるいは級数論に関する書籍を参照してもらいたいが、
コーシーの判別法と関連があることがぼんやりと想像されると思う。
実際、この節の最初に紹介したように、
ならば
となる。
マクローリン展開の有限項による近似式も、収束半径内では近似になるが、
収束半径外では近似にはならないし、
収束半径内でも収束半径に近い
ではその近似の精度は悪くなる。
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竹野茂治@新潟工科大学
2006年9月26日