10 最後に

本稿で、小銭を最小化する支払い方について見てきた。 結局、下の額から硬貨と値段を見比べて、 命題 8 のように分割し、 分割できない単位については大きな硬貨で払う、という解が最適で、 しかもそれは一意的である、ということを示すことができた。

この分割は、10 円未満や 100 円未満のような単位で発生する場合には 割と考えやすいが、5 円未満、50 円未満、という単位で発生した場合には とっさには考えにくいかもしれない。 しかし、馴れてしまえばそれほどでもなく、 割と容易に最適解は求められることが多い。 実際、本稿に上げたような命題や方法を知らなくても、 普段から無意識のうちにこのような最適解を 支払っている人も少なくないだろうと思う。

なお、本稿のような話は多くの人がよく考える話題なので、 私がちゃんと探していないだけで、 本稿で述べた証明なども既にどこかにはあるのだろうと思う。 また、私は数論や離散数学の専門家ではないので、 本稿にある長い証明などは、本当はもっとシンプルにできるのかもしれない。

竹野茂治@新潟工科大学
2014年11月19日