5 式の書き方

これまで述べてきたこと以外の式の書き方で気になることをあげる。

学生の答案には、式の意味、等号の使い方を良く理解せずに、

\begin{displaymath}
y' = x^2 = 2x,
\hspace{1zw}
\frac{\sqrt{2}}{\sqrt[3]{2}} = \...
...1zw}
\sin = \frac{1}{2},
\hspace{1zw}\lim_{x\rightarrow 1} = 3
\end{displaymath}

などのように明らかに間違った書き方も良く見られるが、 それ以外にももっと微妙なもの、 教科書などにはあまり明示されていないもので気になるものがある。

式がまぎらわしい場合に、 カッコを書くことで解消できるような問題については、 まぎらわしくないようにカッコをつければいいのだが、 「省略できるカッコはなるべく省略する」という暗黙のルールのために、 必要なカッコ (優先順位変更のための必要性ではなく、 人にまぎらわしくなく伝えるための必要性) まで省略してしまって、 そのために正しく人に伝わらなくなってしまう。

そのような間違いをするくらいなら、 美的感覚に基づくそのような暗黙のルールなどは無視してしまって、 カッコをたくさん書く方がまだましだと思うが、 いかがであろうか。

ちなみにコンピュータプログラムでは、 バグを防ぐために「省略できるカッコはなるべく省略する」よりも、 必要なカッコを省略してしまう愚をおかす危険をさけるために、 ルール上は不要なカッコでも、むしろちゃんと書くことが推奨されている。 そちらの方がよほど真っ当な理屈に思えるが、 それに関しては、 学ぶ側の学生と教える側の学生の意識の違いがあるような気がしている。

竹野茂治@新潟工科大学
2013年11月3日