4 パラメータの決定

式変形を行うために、以後、
\begin{displaymath}
\frac{k}{2} = \bar{k},
\hspace{1zw}a = \bar{a} - \frac{Ak}{2} = \bar{a}-\bar{k}A\end{displaymath} (6)

と書いて、$k$, $a$ の代わりに $\bar{k}$, $\bar{a}$ を決定することを考えることにする。

このとき、 $kA+a=\bar{a}+\bar{k}A$ となるので、 $\cosh$, $\sinh$ の加法定理 ([1] 参照) により、 (3), (5) の左辺は以下のようになる。

\begin{eqnarray*}\cosh(kA+a)-\cosh a
&=&
\cosh(\bar{a}+\bar{k}A)-\cosh(\bar{a}...
...r{k}A)-\sinh(\bar{a}-\bar{k}A)
\ =\
2\cosh\bar{a}\sinh\bar{k}A\end{eqnarray*}


よって、(3), (5) は
\begin{displaymath}
\sinh\bar{a}\sinh\bar{k}A = \bar{k}H,\hspace{1zw}
\cosh\bar{a}\sinh\bar{k}A = \bar{k}L\end{displaymath} (7)

と書ける。この (7) の両者の比を取れば、
\begin{displaymath}
\tanh\bar{a} = \frac{H}{L}\end{displaymath} (8)

となるので、$\bar{a}$
\begin{displaymath}
\bar{a} = \mathop{\rm arctanh}\left(\frac{H}{L}\right)\end{displaymath} (9)

と表されることになる。 ここで、 $x=\mathop{\rm arctanh}y$ は、$y=\tanh x$ の逆関数 (詳しくは [1] 参照)。

また、 $\cosh^2 x-\sinh^2 x = 1$ なので、 (7) の自乗の差を考えれば

\begin{displaymath}
\sinh^2\bar{k}A = \bar{k}^2(L^2-H^2)
\end{displaymath}

となり、よって $\bar{k}>0$, $A>0$ より
\begin{displaymath}
\sinh\bar{k}A = \bar{k}\sqrt{L^2-H^2}
\end{displaymath}

となる。この両辺を $\bar{k}A$ で割れば
\begin{displaymath}
\frac{\sinh\bar{k}A}{\bar{k}A} = \frac{\sqrt{L^2-H^2}}{A}\end{displaymath} (10)

が得られる。 ここで、 $L>\sqrt{A^2+H^2}$ なので $L^2-H^2>A^2$ だから この式の右辺は 1 より大きいことに注意する。

今、関数 $f_0(y)$

\begin{displaymath}
x=f_0(y) = \frac{\sinh y}{y}
\end{displaymath}

とすると、(10) は
\begin{displaymath}
f_0(\bar{k}A) = \frac{\sqrt{L^2-H^2}}{A}
\end{displaymath}

となるので、この $x=f_0(y)$ の逆関数 $y=f_0^{-1}(x)$ により $\bar{k}A$
\begin{displaymath}
\bar{k}A = f_0^{-1}\left(\frac{\sqrt{L^2-H^2}}{A}\right)
\end{displaymath}

と書けるので、よって結局 $\bar{k}$
\begin{displaymath}
\bar{k} = \frac{1}{A}f_0^{-1}\left(\frac{\sqrt{L^2-H^2}}{A}\right)\end{displaymath} (11)

と表されることになる。

なお、 $f_0(y)=\sinh y/y$ が、$y>0$ で単調増加であることは、 例えば $\sinh y$ のマクローリン展開により示される。

\begin{displaymath}
\sinh y
\ =\ \frac{e^y-e^{-y}}{2}
\ =\ \frac{y}{1!}+\frac{y^3}{3!}+\frac{y^5}{5!}+\frac{y^7}{7!}+\cdots
\end{displaymath}

より
\begin{displaymath}
f_0(y)
\ =\ \frac{\sinh y}{y}
\ =\ 1+\frac{y^2}{3!}+\frac{y^4}{5!}+\frac{y^6}{7!}+\cdots
\end{displaymath}

であるから、
\begin{displaymath}
f_0'(y)
\ =\ \frac{2y}{3!}+\frac{4y^3}{5!}+\frac{6y^5}{7!}+\cdots
\end{displaymath}

となり、この右辺は $y>0$ で正なので、よって $f_0'(y)>0$ となる。 ゆえに $x=f_0(y)$ には逆関数 $y=f_0^{-1}(x)$ が存在することがわかる。 また、ロピタルの定理により
\begin{displaymath}
\lim_{y\rightarrow +0}f_0(y)
=\lim_{y\rightarrow +0}\cosh y...
...rrow \infty}f_0(y)
=\lim_{y\rightarrow \infty}\cosh y
=\infty
\end{displaymath}

なので、 $f_0^{-1}(x)$$x\geq 1$ を定義域とし、 $f_0^{-1}(+1)=0$ で、 $x>1$ で滑らかになる。 よって、 $\sqrt{L^2-H^2}/A>1$ より (11) の右辺は一意に定まる正の実数値となる。 なお、$f_0'(+0) = 0$ なので、 $(f_0^{-1})'(+0)=\infty$ となっている。

竹野茂治@新潟工科大学
2013年11月5日