3 パラメータ変換による変形

本節では (1) の式を変形して、 それが 2 節で紹介した 内サイクロイドになるかどうかを考えてみる。

今、

\begin{displaymath}
\mu = \arctan\sqrt{\frac{R^2-Y^2}{k_2^2Y^2-R^2}},
\hspace{1zw}\nu = \arctan k_2\sqrt{\frac{R^2-Y^2}{k_2^2Y^2-R^2}}\end{displaymath} (10)

とすると、(3) より
\begin{displaymath}
H(Y) = \mu-\frac{\nu}{k_2}\end{displaymath} (11)

となる。(10) より
\begin{displaymath}
\tan\mu = \sqrt{\frac{R^2-Y^2}{k_2^2Y^2-R^2}},
\hspace{1zw}\tan\nu = k_2 \sqrt{\frac{R^2-Y^2}{k_2^2Y^2-R^2}}
\end{displaymath}

であるから、
\begin{eqnarray*}
\cos^2\mu
&=&
\frac{1}{1+\tan^2\mu}
 =\
\frac{1}{1+(R^2...
...^2Y^2)/(k_2^2Y^2-R^2)}
 =\
\frac{k_2^2Y^2-R^2}{(k_2^2-1)R^2}
\end{eqnarray*}


となるので、
\begin{displaymath}
\left(\frac{\cos\mu}{\cos\nu}\right)^2
=\left(\frac{R}{Y}\right)^2
\end{displaymath}

となることがわかる。 (10) より $0\leq\mu<\pi/2$, $0\leq\nu<\pi/2$ なので、 よって
\begin{displaymath}
Y\cos\mu = R\cos\nu\end{displaymath} (12)

が得られる。同様にして、
\begin{displaymath}
\sin^2\mu
= 1-\cos^2\mu
= \frac{R^2-Y^2}{(k_2^2-1)Y^2},
\hsp...
...w}
\sin^2\nu
= 1-\cos^2\nu
= \frac{k_2^2R^2-Y^2}{(k_2^2-1)R^2}
\end{displaymath}

より
\begin{displaymath}
Y\sin\mu = \frac{R}{k_2}\sin\nu\end{displaymath} (13)

が得られる。 さて、(12), (13) と (1), (11) により、
\begin{eqnarray*}
x
&=&
Y\cos H
 =\
Y\cos\left(\mu-\frac{\nu}{k_2}\right...
...1}{k_2}\right)\nu
- \cos\left(1+\frac{1}{k_2}\right)\nu\right\}
\end{eqnarray*}


となり、結局
\begin{displaymath}
x
= \frac{R}{2}\left(1+\frac{1}{k_2}\right)\cos\left(1-\fr...
...\left(1-\frac{1}{k_2}\right)\cos\left(1+\frac{1}{k_2}\right)\nu\end{displaymath} (14)

が得られる。同様に $y$ は、
\begin{eqnarray*}
y
&=&
Y\sin H
 =\
Y\sin\left(\mu-\frac{\nu}{k_2}\right...
...1}{k_2}\right)\nu
- \sin\left(1-\frac{1}{k_2}\right)\nu\right\}
\end{eqnarray*}


より、
\begin{displaymath}
y
= \frac{R}{2}\left(1+\frac{1}{k_2}\right)\sin\left(1-\fr...
...\left(1-\frac{1}{k_2}\right)\sin\left(1+\frac{1}{k_2}\right)\nu\end{displaymath} (15)

と変形できる。

$R/k_2\leq Y\leq R$ に対して

\begin{displaymath}
0\leq\sqrt{\frac{R^2-Y^2}{k_2^2Y^2-R^2}}\leq \infty
\end{displaymath}

であり、よって $0\leq\nu\leq\pi/2$ であるから、
\begin{displaymath}
\tau = \left(1-\frac{1}{k_2}\right)\nu\end{displaymath} (16)

とすると、その範囲は
\begin{displaymath}
0\leq \tau\leq \left(1-\frac{1}{k_2}\right)\frac{\pi}{2}
=\l...
...1-\frac{\pi-\phi_0}{\pi}\right)\frac{\pi}{2}
=\frac{\phi_0}{2}
\end{displaymath}

となる。また、
\begin{displaymath}
\lambda=\frac{\phi_0}{2\pi}\end{displaymath} (17)

とすると、$0<\phi_0<\pi$ より $0<\lambda<1/2$ で、
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{k_2}
&=&
\frac{\pi-\phi_0}{\pi}
 =\
1-\frac...
...{1}{k_2}\right)
&=&
\frac{1}{2}(1-1+2\lambda)
 =\
\lambda
\end{eqnarray*}


となるので、これらにより (14), (15) は
\begin{displaymath}
\left\{\begin{array}{ll}
x
&= \displaystyle R(1-\lambda)\...
...u - R\lambda\sin\frac{1-\lambda}{\lambda}\tau\end{array}\right.\end{displaymath}

と書け、これは確かに (9) に一致する。

なお、これは (1) の $0\leq\tau\leq \phi_0/2 = \lambda\pi$ の 部分であるが、もう半分の $\lambda\pi\leq\tau\leq 2\lambda\pi$ の方は、 (2) により、ここまでと全く同様にして得られる。

以上により、 均質な場合の地中最速降下線 (1), (2), (3) が、 確かに内サイクロイドに等しいことが確かめられたことになる。

そして、その小円の半径と大円の半径の比である $\lambda$ は、 (17) より出発点と終点とが作る中心角 $\phi_0$ と、 $2\pi$ との比に等しいこともわかったことになる。 これは実際に 2 点が与えられたときに 内サイクロイドを用いて具体的な解を求めるのに役に立つだろう。

竹野茂治@新潟工科大学
2017年8月2日