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4 曲線の長さの公式の説明

曲線の長さの公式 (3) の説明をします。

中心を原点とし、角度が 0 の方向を $x$ 軸ととり、 角度が $\pi/2$ 増加した方向を $y$ 軸ととれば、 $\rho=f(\theta)$ が意味する点は $x,y$ 座標では

\begin{displaymath}
(x,y)
=(\rho\cos\theta,\rho\sin\theta)
=(f(\theta)\cos\theta,f(\theta)\sin\theta)
\end{displaymath}

となります。この最後の式を $(x(\theta),y(\theta))$ と書くことにします。

$\theta$ を非常に小さい値 $\Delta\theta$ だけ増やした ときの $x$,$y$ の増加をそれぞれ $\Delta x$, $\Delta y$ と書けば、

\begin{eqnarray*}\Delta x
&=&
x(\theta+\Delta\theta)-x(\theta)
%\\ &=&
=
f...
...)\sin\theta+f(\theta)\cos\theta\}\Delta\theta + O(\Delta\theta^2)\end{eqnarray*}

となります。ここで、 $O(\Delta\theta^2)$ は、 $\Delta\theta^2$ と同程度に (またはそれよりも) 小さい誤差項です。

よって、 $(x,y)=(x(\theta),y(\theta))$ から $(x+\Delta x,y+\Delta y)=(x(\theta+\Delta\theta),y(\theta+\Delta\theta))$ までの直線距離は

$\displaystyle {\sqrt{\Delta x^2+\Delta y^2}}$
  $\textstyle =$ $\displaystyle \Delta\theta\sqrt{(f'\cos\theta-f\sin\theta)^2+(f'\sin\theta+f\cos\theta)^2
+O(\Delta\theta)}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \Delta\theta\sqrt{(f'\cos\theta-f\sin\theta)^2+(f'\sin\theta+f\cos\theta)^2}
+O(\Delta\theta^2)$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \Delta\theta\sqrt{(f')^2+f^2}+O(\Delta\theta^2)$ (5)

となります。

$\theta=a$ から $\theta=b$ までの範囲を $n$ 等分して、 $\Delta\theta=(b-a)/n$, $\theta_j = a+j\Delta\theta$ ( $j=0,1,2,\ldots,n$) とすると、 $L$ は各分点 $(x(\theta_j),y(\theta_j))$ を結ぶ折れ線の長さの $n\rightarrow\infty$ の極限となりますので、(5) より、

\begin{eqnarray*}L
&=&
\lim_{n\rightarrow\infty}\sum_{j=1}^n
\sqrt{\Delta x_...
...^2}
 &=&
\int_a^b\sqrt{\{f'(\theta)\}^2+f(\theta)^2} d\theta\end{eqnarray*}

の公式が得られることになります。


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竹野茂治@新潟工科大学
2005年9月23日