5 最後に

本稿では、誤差関数 $\mathop{\mathrm{erf}}\nolimits x$ と変形ベッセル関数 $I_0(x)$ の漸近展開の 計算方法を紹介した。 いずれも、個々に特別な方法ではあるが、 基本的には収束オーダーを予想して、その比の極限を求める、 という計算をしていることがわかるだろう。

なお、漸近展開を求める方法は、[1] には他に、 Laplace の方法、停留位相の方法、鞍部点法 (最速降下法) などが 紹介されているが、いずれもそれほどやさしいわけでも 一般性があるわけでもなく、 本稿のように極限と部分積分などで地道に求める方法も有効であることが多い。

また、本稿では積分と極限、あるいは積分と級数の交換については 厳密な議論、すなわちそれが可能であるかどうかの条件のチェックを省略したが、 その辺りは、結果の漸近展開式 (発散級数) 以外は一応大丈夫だと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2010年4月8日