3 観測点の位置

まず、観測点 P の位置を式で表すことにする。

地球の自転に伴って、P はその点を通る緯線上を円運動する。 その緯線の円の中心を A とすると、A は地軸上にあり、 QP と $ \omega$ のなす角は $ \pi$/2 - $ \theta$ であるから、 |$ \overrightarrow{\mbox{\rm QA}}$| = r sin$ \theta$ なので

$\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm QA}}$ = (r sin$\displaystyle \theta$)$\displaystyle \mbox{\boldmath$\omega$}$

となる (図 3)。
図 3: A,P,Q を通る断面
\includegraphics[height=0.2\textheight]{APQ.eps}

次に $ \overrightarrow{\mbox{\rm AP}}$ を表現するために、 このベクトルの乗る平面を表すベクトル、 すなわち自転軸に垂直な単位ベクトルを 2 つ取る。 それは $ \omega$ = (0, sin$ \alpha$, cos$ \alpha$) に垂直なベクトルであるから、 ex = (1, 0, 0)

$\displaystyle \mbox{\boldmath$\tau$}$ = $\displaystyle \mbox{\boldmath$\omega$}$ x $\displaystyle \mbox{\boldmath$e_x$}$ = (0, sin$\displaystyle \alpha$, cos$\displaystyle \alpha$) x (1, 0, 0) = (0, cos$\displaystyle \alpha$, - sin$\displaystyle \alpha$)

を取ればよい。 なお、 $ \tau$ = $ \omega$ x ex としているので、 この ex から $ \tau$ への回転の向きは、 緯線上を東経が増える方向に向いていて、 これは実際の地球の自転方向と同じ向きになっている (図 4)。
図 4: ex から $ \tau$ への回転方向
\includegraphics[height=0.2\textheight]{pisen.eps}

この緯線の半径は r cos$ \theta$ であり、 P はこの円周上を等速に進んでいくから、 $ \overrightarrow{\mbox{\rm AP}}$ はパラメータ t を用いて

$\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm AP}} $ = r cos$\displaystyle \theta$($\displaystyle \mbox{\boldmath$e_x$}$cos t + $\displaystyle \mbox{\boldmath$\tau$}$sin t)

と表される。これは、t の増加に伴って、 ex から $ \tau$ の方向に回転するので、 2$ \pi$ を 1 日と考えれば t はほぼ時刻のパラメータと見ることができる。

これらにより、 $ \overrightarrow{\mbox{\rm OP}}$ は、

$\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm OP}}$ = $\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm OQ}}$ + $\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm QA}}$ + $\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm AP}} $  
  = $\displaystyle \rho$(cos$\displaystyle \beta$, sin$\displaystyle \beta$, 0) + r$\displaystyle \mbox{\boldmath$\omega$}$sin$\displaystyle \theta$ + r($\displaystyle \mbox{\boldmath$e_x$}$cos t + $\displaystyle \mbox{\boldmath$\tau$}$sin t)cos$\displaystyle \theta$ (1)

と書けることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年3月24日