高校までの授業科目、特に主要科目と呼ばれる科目は、 それが直接応用に結びつく学問であるというよりは、 色んな応用分野のための基礎の学問であり、そのため、 学習する分量を少なくして、 むしろ問題演習をこなすことで身につけさせている。
大学の講義は次のような点で、高校までの科目との違いがある。
大学の講義は、その専門書の読み方、勉強の仕方を学ぶ場であると みなすことができる。
しかし、大学のカリキュラムは必ずしもそうではなく、習っていない事柄や、 後で習う事柄を先に知っているものと仮定して講義が進んでしまう ことも多く、他科目との連係もまちまちである。
しかし、大学での勉強は、社会に出たときに大学出として教養として 要求される学問であり、武器となるべき学問である。 そのために、問題演習よりも、理屈を優先して講義することが多い。 現場で必要なのは、型にはまった問題の解法ではなく、型にはまらない 色んな問題に対応できる、基礎理論の理解とその応用力である。
テストのために勉強するという考え方は捨て、 自分のためになるから勉強する、という考え方で勉強すべきである。
しかし、大学の教員は教育が素晴らしいという理由で採用されるのではなく、 通常は研究が素晴らしいから、ということで採用されている。 それには教員免許は必要ではないし、教育のための勉強をしていようが いまいが関係なく、教育の資質を判定されることはあまりない。
立派なスポーツ選手が必ずしも立派な指導者ではないのと同じで、 立派な研究者は、立派な学生だったかも知れないが、必ずしも 立派な教育者ではない。
高校までは「授業」といい、大学では「講義」という。この字の意味も、 ある意味でその違いを表している。「新漢和辞典」(大修館, 諸橋轍次他著) によれば
高校までの授業は、道具の使い方を学ぶという意味が強いので「授業」という 言葉を使い、大学の講義は理論の解説という意味が強いので「講義」という 言葉を使っているのであろう。
竹野茂治@新潟工科大学