2 動径方向の関数の積分

まず、次のような積分を考える。
  $\displaystyle
I_K = \int_{B_K}g(\vert\vec{x}\vert)d\vec{x}$ (3)
ここで、 $\vec{x}=(x_1,x_2,\ldots,x_n)\in\mbox{\boldmath R}^n$$B_K$ は原点中心で 半径が $K$$n$ 次元球
  $\displaystyle
B_K=\{\vec{x}\ \vert\ \vert\vec{x}\vert=\sqrt{x_1^2+\cdots+x_n^2}\leq K\}$ (4)
$g=g(r)$$r\geq 0$ 上の 1 変数関数である。

積分領域が球なので、通常は $n$ 次元極座標

  $\displaystyle
\begin{array}{l}
\left\{\begin{array}{lll}
x_1 &=& r\cos\theta...
...
\hspace{0.5zw}0\leq\theta_{n-2}\leq \pi,0\leq\theta_{n-1}< 2\pi)
\end{array}$ (5)
に変換して積分する。 このとき、この極座標 (5) の ヤコビ行列式 $J$
  $\displaystyle
J = J(r,\theta_1,\ldots,\theta_{n-1})
=\left\vert\frac{\partial...
...\ldots,\theta_{n-1})}\right\vert
=r^{n-1}\hat{J}(\theta_1,\ldots,\theta_{n-1})$ (6)
の形となる。よって、(3) は
  $\displaystyle
I_K
= \int_0^K g(r)r^{n-1}dr\int_0^\pi d\theta_1\cdots
\int_0^\pi d\theta_{n-2}\int_0^{2\pi}\hat{J}d\theta_{n-1}
=A\int_0^K r^{n-1}g(r)dr$ (7)
となる。

ここで、$g(r)\equiv 1$ ならば (7) は $B_K$ の 体積 $V_n(K)$ となるので、

$\displaystyle V_n(K) = A\int_0^K r^{n-1}dr = \frac{AK^n}{n}
$
より $A$
  $\displaystyle
A = \frac{nV_n(K)}{K^n} = nV_n(1)$ (8)
となる。 [1] で見たように、半径 1 の $n$ 次元球の体積 $V_n(1)$ は 以下の式で表される。
  $\displaystyle
V_n(1) =
\left\{\begin{array}{ll}
\displaystyle \frac{2^m\pi^...
...zh]
\displaystyle \frac{2^{m+1}\pi^m}{(2m+1)!!} & (n=2m+1)
\end{array}\right.$ (9)
ここで $n!!$$n$ から 2 ずつ減らして 1, または 2 までかけたもの
  $\displaystyle
n!! = n(n-2)(n-4)\cdots$ (10)
である。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-08-02