2 対数軸とは

対数軸とは、図 1 で見たように、 等間隔に見ると軸の目盛りが等比数列となっているものを指す。 逆に、普通の目盛りの軸を 線形軸 と呼ぶことがある。

しかし、対数軸の目盛りは「対数的」というよりもむしろ「指数的」に 増えているように見えるが、 なぜこれを「対数軸」と呼ぶのであろうか。

今、対数軸上の実際の値、すなわち対数軸の目盛りに沿った値を $x$ とし、 軸の目盛りとは無関係な、見かけ上の位置を $X$ とすると (図 2)、

図 2: 対数軸と見かけの位置
\includegraphics[width=0.5\textwidth,clip]{logscale2.eps}
$X$ の増え方に対して $x$ は指数的に増加する。 例えば図 2 の場合、$x$$X$ の関係を式で 表せば $x=10^X$ となり、逆に見れば、見かけの位置 $X$
\begin{displaymath}
X=\log_{10}x\end{displaymath} (1)

となることになる。 これによりこの軸では、 「実際の値 ($x$) を、対数を取った見かけの位置 ($X$) に配置する」 ことになる。 例えば、100 の値は、見かけの 2 ( $=\log_{10} 100$) の場所に来る。 このように、値を対数的に配置するので「対数軸」と呼ばれているのである。

なお、普通の軸でも、軸の目盛りの値を 2 倍にすれば、位置は 1/2 倍になるし (図 3)、 目盛りを 2 増やせば、位置は 2 左にずれる (図 4)。

図 3: 軸の目盛りを 2 倍
\includegraphics[width=0.9\textwidth,clip]{times2.eps}
図 4: 軸の目盛りを 2 増やす
\includegraphics[width=0.9\textwidth,clip]{move2.eps}

このように、軸の目盛りの値を変更することは、 位置を逆に動かすことに相当するので、 軸の目盛りが指数的に変化すると、 見かけの位置は逆に対数的に移ることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2014年8月5日