1 はじめに

以前、[1] で、($2m-1$ 次の整式)/$(x^2+1)^m$ の積分を、 複素数を使って部分分数分解する方法で考察した。 そこでは $1/(x+i)$, $1/(x-i)$ の積分は、複素対数を使うことを避け、 それをまた通分して $a/(x^2+1)$ の形に戻して積分しているのであるが、 そのあとがきで書いたように、今回はこれを通分せずに 複素対数を使って考えてみることにする。

また先日、$\tan x/2=u$ の置換積分を使う $1/(2+\cos x)$ の不定積分を 目にしたが、これも複素数を使って考えてみるとやはり複素対数が出てくる。 その不定積分も合わせて紹介する。

なお、[1] の「複素数の微分の公式」(実数変数複素数値関数の 微積分) の節の内容はすでに知っているものとし、 [1] と同様にあくまで実数変数の複素数値関数を主に考え、 複素数変数のいわゆる複素関数論には踏みこまないことにする。

竹野茂治@新潟工科大学
2016年12月22日