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4 補題の証明

ここでは、3 節で利用した、 次の補題を証明する。


補題 2

(6) の $p(x)$, $q(x)$ は互いに素。 よって、(6) の $\alpha(y)$$\beta(y)$, $\gamma(y)$$\delta(y)$ も互いに素。


証明

実数係数の整式 $p(x)$, $q(x)$ が互いに素ではないとすると、 [3] の 命題 8, 系 9 を利用すれば、 その共通因子は実数係数の整式と取れることがわかる。 それを $r(x)$ (最高次の係数を 1 とする) とし、 $p(x)$, $q(x)$$r(x)$ で割った商をそれぞれ $P(x)$, $Q(x)$ とすると、$p(x)=P(x)r(x)$, $q(x)=Q(x)r(x)$ であるので、

\begin{displaymath}
(x+i)^m=p(x)+iq(x)=r(x)\{P(x)+iQ(x)\}
\end{displaymath}

となるが、この式より $r(x)$$(x+i)^m$ の因子でなくてはならず、 よって

\begin{displaymath}
r(x)=(x+i)^k \hspace{1zw}(k\leq m)
\end{displaymath}

でなくてはならないことになる。 しかし、右辺は $k\geq 1$ ならば明らかに実数係数の多項式ではないので、 $k=0$、よって共通因子 $r(x)$$r(x)=1$ となるので $p(x)$, $q(x)$ は互いに素となる。

$p(x)$, $q(x)$ が互いに素なので、例えば $m$ が偶数の場合、 $p(x)=\alpha(x^2)$, $q(x)=x\beta(x^2)$ も互いに素となる (もし $\alpha$, $\beta$ に共通因子があれば、 $p$, $q$ が共通因子を持つことになる)。 $m$ が奇数の場合も同様。



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竹野茂治@新潟工科大学
2006年6月2日