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3 積分の実行

2 節の計算により、

\begin{displaymath}
\int\frac{\mbox{(高々 $(2m-1)$\ 次式)}}{(x^2+1)^m}dx
=\int(\...
...々 $m$\ 次式}) x\ dx
+\int(\mbox{$1/u$\ の高々 $m$\ 次式})\ dx
\end{displaymath}

となる。 なお、これらの積分の中の $1/u$ の高々 $m$ 次式には定数項は含まれない。

最初の $x$ を一つ含む方は、$u$ への置換積分により ($xdx=du/2$) 容易に

\begin{eqnarray*}\lefteqn{\int(\mbox{$1/u$\ の高々 $m$\ 次式}) x\ dx
= \frac{1}...
...+ \frac{A_1}{x^2+1} + \cdots + \frac{A_{m-1}}{(x^2+1)^{m-1}}
+ C\end{eqnarray*}

のように積分できる。

後者の方は、[1] で述べた方法では、 個々の積分に対しどうしても漸化式が必要になるので、 個々の積分ごとに見てもあまり楽にはならない。 よって、[1] の最後でも触れたように、 最終形を想定した未定係数法を用いるのが楽だと思う。

最終形は、[1] を見ればわかるが、

\begin{displaymath}
\int(\mbox{$1/u$\ の高々 $m$\ 次式})\ dx
= B_0\tan^{-1}x + x\left(\mbox{$1/u$\ の高々 $(m-1)$\ 次式}\right)
+ C
\end{displaymath}

となる。なお、この最後の式の $(m-1)$ 次式にも定数項は含まれない。

また、これには $x=\tan\theta$ と置換してから 未定係数法を用いる、という方法もある。 この場合 $dx=d\theta/\cos^2\theta$, $1/u=\cos^2\theta$ なので、 定数項がないことから

\begin{displaymath}
\int(\mbox{$1/u$\ の高々 $m$\ 次式})\ dx
= \int(\mbox{$\cos^2\theta$\ の高々 $(m-1)$\ 次式})\ d\theta
\end{displaymath}

となり (この最後の式の $(m-1)$ 次式には定数項がありうる)、最終形は

\begin{displaymath}
\int(\mbox{$\cos^2\theta$\ の高々 $(m-1)$\ 次式})\ d\theta
=...
...a\cos\theta
(\mbox{$\cos^2\theta$\ の高々 $(m-2)$\ 次式}) + C
\end{displaymath}

となる。これを $x$ の式に戻すときは、

\begin{displaymath}
\cos^2\theta = 1/u=1/(1+x^2),\hspace{1zw}
\sin\theta\cos\theta = \tan\theta\cos^2\theta = x/u = x/(1+x^2)
\end{displaymath}

のようにすればいい。


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竹野茂治@新潟工科大学
2006年6月2日