2 設定と目標

まずは本稿での設定と目標を示す。

$a\geq 0$ とし, 関数 $y=f(x)$$[a,\infty)$ で正値の狭義単調減少な 連続関数で、

$\displaystyle
\lim_{x\rightarrow \infty}{f(x)}=0$ (1)
とする。 すると $A=f(a)$ によって $(0,A]$ 上の $y=f(x)$ の逆関数 $x=f^{-1}(y)$ が 存在し、正値の狭義単調減少な連続関数で、
$\displaystyle
\lim_{y\rightarrow +0}{f^{-1}(y)}=\infty$ (2)
となる (図 1)。
図 1: $y=f(x)$$x=f^{-1}(y)$
\begin{figure}\begin{center}
\begin{tikzpicture}[scale=1.0]
% 左のグラフ
\draw[arr...
...8+0.7, 4) node[above] {$\infty$};
%
\end{tikzpicture} \end{center}\end{figure}

このとき、両者の広義積分

$\displaystyle
\left\{\begin{array}{lll}
I_1 &= \displaystyle \int_a^\infty f(...
...= \displaystyle \lim_{B\rightarrow +0}{\int_B^Af^{-1}(y)dy}
\end{array}\right.$ (3)
が、必ず
$\displaystyle
I_2 = I_1 + aA$ (4)
となるのかどうかを考察するのが本稿の目標である。

これらの積分は、無限に伸びる図形としては対応しているのであるが、 広義積分の取り方は、いずれも縦に有限な部分を切り落としてその極限とする (図 2) ので、 $I_2$ の図形を $I_1$ の方に揃えて $x,y$ を入れ変えて考えれば、 $I_1$ の方は鉛直方向に切って、それを水平に (右に) 伸ばしていく極限、 $I_2$ の方は水平方向に切って、それを鉛直に (下に) 伸ばしていく極限、 ということになる

図 2: 広義積分のそれぞれの極限の取り方
\begin{figure}\begin{center}
\begin{tikzpicture}[scale=1.0]
% 左のグラフ
\draw[arr...
...+0.7-0.2, -0.3) -- (8+0.1, -0.3);
%
\end{tikzpicture} \end{center}\end{figure}

このように、極限の取り方が両者で違っているので、 $I_1$, $I_2$ の収束・発散が同時に起こるか、 また (4) が成立するかどうかは自明ではない。

竹野茂治@新潟工科大学
2025-12-25