3 巾乗と三角関数の積の積分
次は、
と
,
の積の積分を考える。
これも、大まかな方針は、部分積分を繰り返して、
巾乗の方の次数を一つずつ下げることで、
最終的に三角関数のみの積分に帰着させることである。
一般的な式を求める方法はいくつか考えられるが、
例えば以下のようなものがある。
- 2 節の (4) のように、
部分積分により漸化式を作り、そこから求める
- 2 節の
のような関数を見つけて、
積の微分により求める
- 複素数を利用して、三角関数を複素指数関数で表現することで、
(7) を利用して求める
ただし、
,
の部分積分は、
毎回の部分積分で、
と
が交互に入れ替わるので、
1. の方針では 2 節ほど簡単ではない。
本節ではまずそれを考えてみる。
![$\displaystyle
I_2(x;n,\alpha) = \int x^n\cos\alpha x dx,
\hspace{1zw}I_3(x;n,\alpha) = \int x^n\sin\alpha x dx$](img40.png)
(
11)
とすると、これも当然
![$\displaystyle
I_2(x;n,\alpha) = \frac{1}{\alpha^{n+1}}I_2(\alpha x;n,1),
\hspace{1zw}I_3(x;n,\alpha) = \frac{1}{\alpha^{n+1}}I_3(\alpha x;n,1)$](img41.png)
(
12)
となって
の場合に帰着される。
部分積分により、
となるので、
![$\displaystyle
\left\{\begin{array}{ll}
\displaystyle \frac{1}{k!}I_2(x;k,1) +...
...-1)!}I_2(x;k-1,1)
& \displaystyle = -\frac{x^k}{k!}\cos x
\end{array}\right.$](img43.png)
(
13)
となり、漸化式に
と
が混在するので 2 節
よりはだいぶ厄介になる。
その回避策としては、例えばもう 1 段下げて
と
の関係式にする、
という手がある。
となるので、
と、ひとつ跳んだ形ではあるが、
と
が混在しない
漸化式が得られるので、あとは
が奇数か偶数かで場合分けすれば
,
の
一般的な式を得ることができる。
ただし、その場合分けも含めて、
その一般的な式は 2 節のものよりはだいぶ複雑に
なる (が、これも不思議と
,
のマクローリン展開に
似た形になる)。
それを解消する方法として、さらに次のような手がある。
![$\displaystyle
I_4(x;n,\alpha,\beta)
= \int x^n\cos\left(\alpha x-\frac{n\pi}...
... dx
\hspace{1zw}
\left( =\frac{1}{\alpha^{n+1}}I_4(\alpha x;n,1,\beta)\right)$](img57.png)
(
16)
とすると、これは、
![$\displaystyle
I_4\left(x;n,\alpha,\frac{n\pi}{2}\right) = I_2(x;n,\alpha),
\h...
...w}
I_4\left(x;n,\alpha,\frac{n\pi}{2}-\frac{\pi}{2}\right)
= I_3(x;n,\alpha)$](img58.png)
(
17)
となるので、
は
,
を特別な場合として含んでいて、
つまり
,
を一般化したものとも見ることができる。
を部分積分すると、
となるが、
より、
![$\displaystyle
\frac{1}{k!}I_4(x;k,1,\beta)
=
\frac{x^k}{k!}\sin\left(x-\frac{k\pi}{2}+\beta\right)
+\frac{1}{(k-1)!}I_4(x;k-1,1,\beta)$](img63.png)
(
18)
となり、
なので、結局
![$\displaystyle
\frac{1}{n!}I_4(x;n,1,\beta)
= \sum_{k=0}^n\frac{x^k}{k!}\sin\left(x-\frac{k\pi}{2}+\beta\right) + C$](img65.png)
(
19)
が得られる。一般の
の場合も、
となる。
例えば、これを簡単なものに適用すると、(17), (19) より
のようになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2020-03-12