2 ± の基本性質

本節では、まず $H_{\pm }$ に関する以下の基本的な性質を示す。


定理 1

$H_{\pm}(x;\alpha,\beta,\gamma)$ は、その両辺が積分の収束条件を 満たしていれば、以下の性質 [i]$\sim$[v] が成り立つ。

$\displaystyle \begin{array}{cl}
\mathrm{[i]} &
\displaystyle \frac{d}{dx}H_{\...
...+1,\gamma+1)
\\
& \ +\beta H_{\pm}(x;\alpha+1,\beta,\gamma+1)=0
\end{array}$


[i]$\sim$[iv] はほぼ自明で、[v] は部分積分で容易に示される。

定理 1 から、 $H_{+}$$H_{-}$ で共通の性質が成り立つことがわかる。

気体の方程式に対する証明では、1 節で伸べたように $H_{\pm }$ を何回か微分する必要があるが、 性質 [i] より、微分するとその分 $\gamma$ が下がる。 $H_{+}$$\gamma$ が小さくてもそのまま積分で表現できるのだが、 $H_{-}$ の方は $\gamma>-1$ という制限があり、 その先の微分は、性質 [i] がそのままは使えない。 それは、別な式で表すことは可能なのだが、少し項が増えてしまい、 それを繰り返すと複雑な式になってしまう (例えば [4])。 それを防いで、同じ [i] のままの形で表現するために、 次節で $H_{-}$$\gamma$$\gamma<-1$ に対して拡張することを考える。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-01-19