3.3 $V$ の評価: simplified method の場合

今度は、simplified method (p131-132) の形の解を考える。 なお、速度 $\hat{\lambda}$ の非物理 front を 以後 $\sigma_{np}$ のように書くことにするが、 p125 一番下、あるいは p136 (7.52) にあるように、 その大きさは両側の定数解の差の絶対値と定義されていて、 各非物理 front 毎に違うものなので、 必要があれば $\sigma'_{np}$, $\sigma''_{np}$ などの区別をする。

まずは、[S-1]、すなわち $\sigma'_i$, $\sigma''_j$ が物理 front で $i>j$ の場合 (p131 Figure 7.7)。この場合は、

$\displaystyle \sum_k\vert\sigma_k\vert = \vert\sigma''_j\vert + \vert\sigma'_i\vert + \vert\sigma_{np}\vert
$

となるから、(1) の右辺は $\vert\sigma_{np}\vert$ に等しく、 よって、Lemma 7.2 (iii) により、

$\displaystyle \vert\sigma_{np}\vert
= \vert u_r-\tilde{u_r}\vert
\leq C\vert\sigma'_i\vert\vert\sigma''_j\vert
$

となり、(7.55') が得られる。

[S-2] の $i=j$ の場合 (p131 Figure 7.8) も、

$\displaystyle \sum_k\vert\sigma_k\vert
= \vert\sigma'_j + \sigma''_j\vert + \v...
...}\vert
\leq \vert\sigma'_j\vert + \vert\sigma''_j\vert + \vert\sigma_{np}\vert
$

となるので、後は上と同じ形で (7.55') が示される。

最後に、[S-3] の $\sigma'_i$ が非物理 front $\sigma_{np}$ である場合 は (p131 Figure 7.9)、

$\displaystyle \sum_k\vert\sigma_k\vert
= \vert\sigma''_j\vert + \vert\sigma_{np}\vert
$

となるので、(1) の 右辺は $\vert\sigma_{np}\vert - \vert\sigma'_{np}\vert$ ($\sigma_{np}$$\tau+$ の 非物理 front、 $\sigma'_{np}=\sigma'_i$$\tau-$ の非物理 front) となり、 よって Lemma 7.2 (iv) により、(1) の右辺は

$\displaystyle \vert\sigma_{np}\vert - \vert\sigma'_{np}\vert
= \vert u_r-\tilde...
...
= C\vert\sigma''_j\vert\vert\sigma_{np}\vert= C\vert\sigma'_i\sigma''_j\vert
$

となり、(7.55') が得られる。

これですべての場合に (7.55) が成り立つことが示された。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03