4 B と h

$B_{0,1}$, $B^{(0)}_n$, $B^{(1)}_n$, $B_n$ は 前の報告 [3] と同じにとる。すなわち、
  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{lll}
B_{0,1}
& = \eta^{(0)}q^{(1)}-\eta^...
..._n\hat{\sigma}_n-\hat{\eta}_n\sigma_n
\end{array}\right. \hspace{0.5zw}(j=0,1)$ (45)
とする。 ここで、$B_{0,1}$ は前の報告 [3] と同様に
  $\displaystyle
B_{0,1}=\theta\{\eta^{(0)}(a)\}^2
= \theta\{(w-a)(a-z)\}^{2\tau}X_0 \geq 0$ (46)
となり、その Young 測度 $\nu$ による積分を
  $\displaystyle
h(a) = \langle B_{0,1}\rangle = \langle\theta\{\eta^{(0)}(a)\}^2\rangle $ (47)
とする。前の報告 [3] の命題 2 では $h(a)$ の連続性のみを 述べたが、 ここではもう少し強い Hlder 連続性を示しておく。 なお、以後一つの Young 測度 $\nu = \nu_{(t,x)}$ を固定して考え、 その $\nu$ の台を含む最小の三角領域を
  $\displaystyle
\Sigma(w_1,z_1) = \{(w,z)\vert\ w\geq z,\ w\leq w_1,\ z\geq z_1\}$ (48)
とし、$w_1>z_1$ とする。


命題 3

$h(a)$ は、$z_1<a<w_1$ では正で、その外では 0 で、かつ、 すべての実数 $a$, $b$ に対し次を満たす。

$\displaystyle \vert h(b)-h(a)\vert\leq C_0(\vert b-a\vert^{2\tau}+\vert b-a\vert)
$
ここで、$C_0$$w_1$, $z_1$, $\tau$ のみに依存し、 $a$, $b$ には依存しない定数。


証明

最後の不等式以外の性質は、前の報告 [3] の命題 2 の 証明と同じなので省略し、ここでは最後の不等式のみを示す。

まず、 $B_{0,1}=B_{0,1}(a)=\theta\{\eta^{(0)}(a)\}^2$ に対し $J=B_{0,1}(b)-B_{0,1}(a)$ とし、 $(w,z)\in\Sigma(w_1,z_1)$ ( $z_1\leq z\leq w\leq w_1$) に対して

  $\displaystyle
\vert J\vert\leq C_0(\vert b-a\vert^{2\tau}+\vert b-a\vert)
$ (49)
となることを示すが、これが成り立てば $\nu$ は台が $\Sigma(w_1,z_1)$ に含まれる確率測度なので、
$\displaystyle \vert h(b)-h(a)\vert=\vert\langle J\rangle \vert\leq\langle\vert J\vert\rangle
\leq C_0(\vert b-a\vert^{2\tau}+\vert b-a\vert)
$
となって目指す不等式が得られることになる。 なお、これは $a<b$ に対して示せばよいので、以下そう仮定する。

まず、 $\eta^{(0)}(a)=\eta^{(0)}(b)=0$ のときは (49) は当然成立するが、 これは $z\leq w\leq a$ の場合、 $a\leq z\leq w\leq b$ の場合、 および $b\leq z\leq w$ の場合に対応する。

また、 $\eta^{(0)}(a)=0$ でかつ $\eta^{(0)}(b)>0$ のときは、 $a\leq z<b<w$ で、よって

$\displaystyle \vert J\vert$ $\textstyle =$ $\displaystyle \theta\{\eta^{(0)}(b)\}^2
\ =\
\theta(w-b)^{2\tau}(b-z)^{2\tau}$ 
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle \theta(w-z)^{2\tau}(b-a)^{2\tau}
\ \leq\
\theta(w_1-z_1)^{2\tau}(b-a)^{2\tau}$(50)
となる。

次に $\eta^{(0)}(a)>0$ でかつ $\eta^{(0)}(b)=0$ のときは、 $z<a<w\leq b$ で、よって

$\displaystyle \vert J\vert$ $\textstyle =$ $\displaystyle \theta\{\eta^{(0)}(a)\}^2
\ =\
\theta(w-a)^{2\tau}(a-z)^{2\tau}$ 
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle \theta(b-a)^{2\tau}(w-z)^{2\tau}
\ \leq\
\theta(w_1-z_1)^{2\tau}(b-a)^{2\tau}$(51)
となる。

最後に $\eta^{(0)}(a)>0$ でかつ $\eta^{(0)}(b)>0$ のときは、 $z<a<b<w$ で、よって
$(b-z)^{2\tau}\leq (w-z)^{2\tau}$, $(w-a)^{2\tau}\leq (w-z)^{2\tau}$ より

$\displaystyle \vert J\vert$ $\textstyle \leq$ $\displaystyle \theta\vert(w-b)^{2\tau}(b-z)^{2\tau}-(w-a)^{2\tau}(a-z)^{2\tau}\vert$ 
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle \theta\vert(w-b)^{2\tau}-(w-a)^{2\tau}\vert(b-z)^{2\tau}$ 
    $\displaystyle +\theta(w-a)^{2\tau}\vert(b-z)^{2\tau}-(a-z)^{2\tau}\vert$ 
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle \theta(w_1-z_1)^{2\tau}\{\vert(w-b)^{2\tau}-(w-a)^{2\tau}\vert
+\vert(b-z)^{2\tau}-(a-z)^{2\tau}\vert\}$(52)
となるが、$2\tau\geq 1$ の場合は、中間値の定理によりある $c_1$, $c_2$ があって
\begin{eqnarray*}\vert(w-b)^{2\tau}-(w-a)^{2\tau}\vert
&=&
2\tau(w-c_1)^{2\tau...
...c_2-z)^{2\tau-1}(b-a)
\ \leq \
2\tau(w_1-z_1)^{2\tau-1}(b-a)
\end{eqnarray*}
となるので、(52) より
  $\displaystyle
\vert J\vert\leq 4\tau\theta(w_1-z_1)^{4\tau-1}(b-a)
$ (53)
と評価される。 また $0<2\tau<1$ の場合は、$0<x<y$ に対して
$\displaystyle 0<y^{2\tau}-x^{2\tau}\leq (y-x)^{2\tau}
$
が成り立つので、(52) より
  $\displaystyle
\vert J\vert \leq 2\theta (w_1-z_1)^{2\tau}(b-a)^{2\tau}
$ (54)
と評価される。

よって、(50), (51), (53), (54) より、 $C_0$

  $\displaystyle
C_0 = \left\{\begin{array}{ll}
\theta\max\{4\tau(w_1-z_1)^{4\ta...
...}),\\
2\theta(w_1-z_1)^{2\tau}
& (0<2\tau<1\mbox{ のとき})
\end{array}\right. $ (55)
ととれば、(49) が成立することになる。


竹野茂治@新潟工科大学
2023-04-03