しかし、「1 点での密度」や「瞬間の速度」は本来はそれらが最初に あるものではなく、 いずれもむしろ幅を持って考えたものの比の極限 (すなわち微分) として定義されるものであって、 そういう方向から入った場合の導出をここでは行ってみた。 この場合、通常では積分として現れる量が、 この方法では最初に式として与えられるので積分を使う表現が ほとんど出てこない。 ただし、こちらの方がわかりやすいかというと必ずしもそうではなく、 むしろ感覚的には通常の方がわかりやすいように思うし、 考察し直す場合もそちらの方がやりやすそうである。
また、今回は 1 次元の方程式の導出のみを行ったが、 少くとも通常の方法であれば多次元 (2 次元、3 次元) の場合にも拡張でき、 保存則方程式の導出も全く同様に行える。 ただし、その場合には発散定理等が必要となるので、 ここでは 1 次元の話のみに限定した。 多次元の方程式については、詳しくは流体力学の成書を参照されたい。
なお、今回の導出方法は、かなり 1 次元に強く依存した部分があり、 多次元の場合には今回のような方法での導出は、 詳しく検討したわけではないが、 多分あまりうまくいかないだろうと思われる。
竹野茂治@新潟工科大学