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(PDF ��������: pdetutor.pdf)
厳密な解を求めにくい場合、計算機で数値計算を行い解の様子を調べる
方法がある。
微分方程式の数値計算法にも色々あるが、ここでは差分法を紹介する。
差分方とは、関数の微分
を、
として
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(31) |
で置き換えることをいう。この差分の
のときの極限が
微分であるので、
が小さければ差分と微分との差は小さく、
よって微分は差分で近似できることになる。
式 (31) の他にも
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(32) |
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(33) |
で置き換えることもできるが、(31) は前進差分、
(32) は後退差分、
(33) は中心差分と呼ばれる。
例えば、次のような常微分方程式の初期値問題
![\begin{displaymath}
\left\{\begin{array}{l}
\displaystyle \frac{dx(t)}{dt}=x(t) \ \ (t>0), \\ [1zh]
x(0)=1
\end{array}\right.\end{displaymath}](img246.gif) |
(34) |
を考えてみる。(34) の方程式の左辺を前進差分で
置き換えると
となり、よってこの近似方程式は
と書けることになる。
と与えられているので、これにより
と、
での
の近似値が求められることになる。
元の方程式 (34) の真の解は
であるが、
上の近似解を
とすると、
のときこの値は
となる。今、
を固定して
とすると
となるので、この近似解
は
が小さい値のときは
確かに真の解
を近似していることがわかる。
今、小さい正数
が与えられた場合、
を計算する式は
となり、すなわち数列の漸化式で与えられることになる。
このような漸化式の計算は、計算機で計算する場合にはむしろ都合が良い。
このように、差分法においては通常漸化式によって数値計算が行われる。
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Shigeharu TAKENO
2001年 9月 21日