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3 問題の定式化

この節で問題の設定を明確にしておく。 2 節の最後に述べたように、 元の問題を少し一般化して考えることにする。

まず、3 次元空間を考え、中心が原点である $xy$ 平面上の 以下の楕円を底面とする。

\begin{displaymath}
\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1,\hspace{1zw}z=0\hspace{1zw}(a>0,\ b>0)
\end{displaymath}

そして頂点 P の座標を $\mathrm{P}(p,q,h)$ ($h>0$) とする (図 6)。
図 6: 問題の設定
\includegraphics[width=0.7\textwidth]{cone3.eps}
元々の問題は、$a=b=p=r$, $q=0$ の場合に相当することになる。

底面の楕円周上の点は $\mathrm{Q}=\mathrm{Q}(\theta): (a\cos\theta,b\sin\theta,0)$ ( $0\leq\theta< 2\pi$) とパラメータ表示される (注: $a\neq b$ の場合には$\theta$ は一般には中心角とは異なる)。 よって、PQ を $t:(1-t)$ ($0\leq t\leq 1$) に内分する点を R とすれば R の座標は

\begin{displaymath}
(at\cos\theta+(1-t)p,bt\sin\theta+(1-t)q,(1-t)h)
\end{displaymath}

となり、すなわちこの側面が $t,\theta$ で以下のように パラメータ表示されたことになる。
\begin{displaymath}
\left\{\begin{array}{lll}
x & = & at\cos\theta + p(1-t)\\ ...
...d{array}\right. \hspace{1zw}(0\leq\theta< 2\pi,\ 0\leq t\leq 1)\end{displaymath} (2)

この $t$$\theta$ を消去すれば、$x,y,z$ のみによる曲面の表示式も得られる。

\begin{displaymath}
\left\{\frac{x-p(1-t)}{a}\right\}^2+\left\{\frac{y-q(1-t)}{b}\right\}^2=t^2
\end{displaymath}

より、
\begin{displaymath}
\left(\frac{x-pz/h}{a}\right)^2+\left(\frac{y-qz/h}{b}\right)^2
=(1-z/h)^2\end{displaymath} (3)

となる。この式を $z$ について解いて $x,y$ の式で表せば、 領域 $D$ 上の曲面 $z=z(x,y)$ に対する曲面積の公式

\begin{displaymath}
S=\int\!\!\!\int _D\sqrt{1+z_x^2+z_y^2}\ dxdy
\end{displaymath}

によって側面積を表すことができる。 しかし式 (3) を $z$ について解くのは、 2 次方程式なので一応可能ではあるが少し面倒だし、 そもそもその後の積分の計算が大変になりそうなので、 むしろパラメータ表示 (2) に対する面積分公式 を用いた方が良い。

なお、この (3) から、$z=$(定数) とした式、 すなわちこの曲面の水平断面の形は、どの高さでも底面の楕円と相似な楕円 (ただし中心はずれている) になっていることがわかる。 元の問題の場合には常に円になっていることになるので、 それを利用したような計算法はないかとも考えたのだが それは見出せなかった。


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Shigeharu TAKENO 2005年 2月 28日