3 隣接積の和の最大最小
では、今度は 個のデータ
が
与えられたときに、(3) の の値は、
軸の並べかえでどのように変化するか、
どのような並びのときに (3) の値は、
最大、最小となるのか、といったことを考えてみる。
これは、
(
) に対し、 とするとき、
の値が、
の順を並べかえたときに、
どのような並びのときに最大、あるいは最小となるか、という問題になる。
そのため、この と、両端の積を排除した
を考えてみることにする。
ここでは、数列のすべての並びかえを考えるので、元の は
であるとしてよい。
簡単のため、例えば の場合を考えてみる。
まず を考える。通常の の並びに対しては、
|
(4) |
となるが、これを並べかえて とすると、 の値は
|
(5) |
となり、さらに という並びに対しては、 は
|
(6) |
となる。 の順列の並べかえは
全部で 通りあるが、
並び全体を反転させても の値は変わらないので、
並べかえによる値はこの , , の 3 通りとなる。
例えば、 に対する は確かに
に等しくなる。
この , , では、
より
で、また
より
なので、
よって
であり、
(および ) の並びの場合に は最大、
(および ) の並びの場合に最小となる
ことがわかる。
一方 は、 に対しては
となるが、これも反転しても値は変わらないが巡回的、すなわち円順列なので、
の場合は 通り、
すなわちこの の 1 種類しかない。
の場合は、 通りあり、
となる。他のものはすべてこのいずれかと同じものになる。
例えば、
の場合は、
となる。
これらの大小は、
より
となり、
よって
の並びのときに最小、
の並びのときに最大となることがわかる。
なお、上の例では、すべての並べかえに対して , の大小が
の順序から一意に確定している、
すなわち線形順序 (全順序) がついているが、
これは常にそうなるわけではない。
例えば、 の では、
の並びに対する
と、
の並びに対する
を比較すると、
となるが、これは正の項同士の差で、
その正負は
の大小だけでは決定せず、
値によって変わりうる。
例えば , , , とすると、
となるので、 と の大小は、
が 2 より大きいか小さいかで変わることになり、
という条件だけでは必ずしも確定しない。
このように、すべての並びに必ずしも大小は確定はしないが、
しかし最大値、最小値を与える並びはこの後見るように常に確定する。
竹野茂治@新潟工科大学
2017年2月9日