1 はじめに

本稿では、管楽器のように、場所により断面積が一定ではない管の中の 1 次元的な気体の流れを記述するノズル方程式
  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{l}
A(x)\rho_t + (A(x)\rho u)_x = 0,\\
A(...
...(x) P_x = 0,\\
A(x)(\rho E)_t + \{A(x)(\rho E+P)u\}_x = 0
\end{array}\right.$ (1)
の導出について考える。ここで、管は $x$ 軸に沿って伸びていると考え、 $A(x)\ (>0)$ は管の $x$ での $x$ 軸に垂直な断面積、 $t$ は時刻、 $\rho=\rho(x,t)$ は気体密度、 $u=u(x,t)$$x$ 方向の気体速度、 $P=P(x,t)$$x$ での単位面積当たりの圧力、 $E=u^2/2+e$ は単位質量当たりの気体のエネルギー、 $e=P/((\gamma-1)\rho)$ は単位質量当たりの内部エネルギー、 $\gamma > 1$ は気体定数である。 外力や粘性は本稿では考えないため省いてある。

なお (1) は、 $P$$\rho$ だけの関数 ($P=P(\rho)$) として、 最初の 2 本だけで考えることも良く行われている。

この (1) は、 より一般の 3 次元的な気体運動を表す圧縮性オイラー方程式を 導くのと同様、積分形の保存則に戻って、そこから微分方程式を導く方法を 取っていることが多いように思う (例えば [1], [3], [4])。

しかし、3 次元オイラー方程式を導く際にすでにその方法、 すなわち積分形の保存則から微分方程式を導く方法を 用いているのであるから、 積分形の保存則を経由せずに 3 次元オイラー方程式から直接 (1) を導くこともできそうな気がする。 本稿は、それについて考察することが目標である。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-01-11