2.5 ラプラシアン

(11), (12), (13) の和が $f$ のラプラシアン $\triangle f$ となるが、 それぞれの式はだいぶ長いので、一気に全部加えてしまう代わりに $g$ の各導関数の係数を順番に見ていくことにする。 まず $g_{rr}$ の係数は

\begin{eqnarray*}\lefteqn{\cos^2\phi\cos^2\theta+\sin^2\phi\cos^2\theta+\sin^2\t...
...i)\cos^2\theta+\sin^2\theta}
\\ &=& \cos^2\theta+\sin^2\theta=1,\end{eqnarray*}


$g_{\phi\phi}$ の係数は
\begin{displaymath}
\frac{\sin^2\phi}{r^2\cos^2\theta}+\frac{\cos^2\phi}{r^2\cos^2\theta}
=\frac{1}{r^2\cos^2\theta},
\end{displaymath}

$g_{\theta\theta}$ の係数は
\begin{eqnarray*}\lefteqn{
\frac{\cos^2\phi\sin^2\theta}{r^2}+\frac{\sin^2\phi\...
...}
\\ &=&
\frac{\sin^2\theta+\cos^2\theta}{r^2}
=\frac{1}{r^2},\end{eqnarray*}


$g_{r\phi}$ の係数は
\begin{displaymath}
-\frac{2\cos\phi\sin\phi}{r}+\frac{2\cos\phi\sin\phi}{r}=0,
\end{displaymath}

$g_{r\theta}$ の係数は
\begin{eqnarray*}\lefteqn{
-\frac{2\cos^2\phi\cos\theta\sin\theta}{r}
-\frac{2...
...frac{-2\cos\theta\sin\theta+2\cos\theta\sin\theta}{r}
\\ &=&
0,\end{eqnarray*}


$g_{\phi\theta}$ の係数は
\begin{displaymath}
\frac{2\cos\phi\sin\phi\sin\theta}{r^2\cos\theta}
-\frac{2\cos\phi\sin\phi\sin\theta}{r^2\cos\theta}
=0,
\end{displaymath}

$g_r$ の係数は
\begin{eqnarray*}\lefteqn{
\frac{\sin^2\phi+\cos^2\phi\sin^2\theta}{r}
+\frac{...
...\theta}{r}
=\frac{1+\sin^2\theta+\cos^2\theta}{r}
=\frac{2}{r},\end{eqnarray*}


$g_\phi$ の係数は
\begin{displaymath}
\frac{2\cos\phi\sin\phi}{r^2}-\frac{2\cos\phi\sin\phi}{r^2}
=0,
\end{displaymath}

$g_\theta$ の係数は
\begin{eqnarray*}\lefteqn{%
\frac{2\cos^2\phi\cos^2\theta\sin\theta-\sin^2\phi\...
...in\theta}%
{r^2\cos\theta}
=
-\frac{\sin\theta}{r^2\cos\theta}\end{eqnarray*}


となる。

よってこれらを総合すれば、結局

\begin{displaymath}
\triangle f
=
g_{rr}
+g_{\phi\phi}\frac{1}{r^2\cos^2\the...
...^2}
+g_r\frac{2}{r}
-g_\theta\frac{\sin\theta}{r^2\cos\theta}\end{displaymath} (14)

となる。これが、ラプラシアンの極座標での表現式である。

見てわかる通りかなり大変な計算であるが、 実際にはその途中の式 (11), (12), (13) に比べて結果の式 (14) はかなりシンプルな式になる。 以前から、何らかの方法でこの計算を楽にできないかと思っていたが、 これとは別の計算を行っていたときにある方法に気がついた。

それを $\triangle f$ の計算に応用した例を次の 3 節に示す。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年2月2日