左右に裏返したときに、表の穴の位置と裏の穴の位置が一つも重ならないことという条件を満たす必要がある。 穴は 4 つなので、この条件は、
表の穴の位置と裏返した穴の位置で 8 箇所全部が埋まることと言い換えることもできる。
例えば、
のようにランダムに 1 から 7 までの数字を並べたとすると、 1 枚目のカードを作るために 1,3,5,7 の位置に穴をあけると、
7 1 4 2 3 6 5
となってしまい、上の 2 つの穴が左右に裏返して重なってしまうので、 このような配置ではいけないことになる。 では、どのように配置すればいいだろうか。
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左右に裏返す場合、左右を分ける中央の縦の線が対称軸となるが、 上の条件を考えると、 この対称軸に関して対称な位置のマスは同時に穴を空けてはいけないし、 その対称な位置のマスは必ずどちらか一方は穴が空かないといけないことにもなる。
つまり、対称な位置に 1,3,5,7 のうち 2 つの数字を置いてはいけないし、 対称な位置のどちらかには必ず 1,3,5,7 のうち いずれか一つを置かなければいけないことになる。 2 枚目、3 枚目も考えれば、2,3,6,7 や 4,5,6,7 についても 同じことが言えることになるが、 これらを総合すると結局どうなるだろうか。
例えば、下のような位置に 1 を置いた場合を考えてみる。
その対称な位置 x には、 1 枚目のカードを考えると 3,5,7 は置けないので、 2,4,6 のいずれかを置くことになる。 2 枚目のカードを考えると 2,3,6,7 は置けるが、それ以外はだめで、 3 枚目のカードを考えると 4,5,6,7 はよくてそれ以外はだめ、となる。 結局、これらの条件をすべて満たすのは 6 だけということになる。
x 1
前の 2 進法で考えると、 例えば 2 枚目のカードは 2 進法の下から 2 桁目を意味し、 その表に書かれる数字はその桁が 1 のもの、 それ以外の数字はその桁が 0 のものを意味していた。 今、1 は下から 2 桁目の数字は 0 であり、 その場合にはその桁が 0 の数字、 つまり 1 と同じグループの数字 3,5,7 は x には置けず、 その桁が 1 の数字 2,4,6 しか置けない、ということになっている。
逆に 1 の一番下の桁の数字は 1 であり、 x にはその桁が 0 である数字しか置けないことになっている。 よって結局 1=001(2) の場合は、 各桁の 0 と 1 をすべて入れかえた 110(2)=6 が x に当てはまることになる。 これはどの場所、どの数字でも同じなので、結局次のことがわかる。
裏返しの軸に関する対称な位置には、 2 進法での各桁の 0 と 1 を入れ替えてできる数字を置くこと (ただし左上角は 0 と考える)
なお、各桁の 0 と 1 を入れ換えた数字と元の数字の和を考えると、
のように、すべての桁が 1 になるので、結局この規則は
001(2) + 110(2) = 111(2) = 7
裏返しの軸に関する対称な位置には、x と (7 - x) を置くという形に言い換えることもできる2。
1 から 15 までの 4x 4 マスの場合には、1111(2)=15 なので、 x と (15 - x) を対称な位置に置けばいい。
このような置き方は、もちろん一通りではなくたくさんある。 左上角は 0 なので、右上角は 7 と固定になり、 後は対称な位置の組は 3 箇所あり、 そこに (1,6), (2,5), (3,4) の組を置いて、 それぞれ右に置くか左に置くかを選択できるので、 それぞれ 2 通りあるので、結局 3! x 23 = 48 通りあることになる。 例えば次のようなものでよい:
3 4 7 6 2 5 1
この場合、これに応じて穴を空けると次のようになる:
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一旦穴さえ空けてしまえば、 4 枚目のカードは数字でなくても何でもよく、 それに応じて 4 節で説明したように、 1 から 3 枚目のカードの表を 4 枚目のカードに重ねて 穴の空いているところに見えるものを そのカードの表の余白のマスに書いていけばよい。
1 から 15 の 4 x 4 マスの場合は、 全部で 7! x 27 = 645120 通りあるが、 例えば以下のようなものがそれを満たす:
12 3 15 13 8 7 2 6 1 14 9 11 5 10 4
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微妙に規則性 (対称性) が見えなくもないが、 これを利用すれば 4 x 4 の数当て (数でなくてもよい) もできるようになる。
竹野茂治@新潟工科大学