2 線積分、面積分、体積分、重心

まずは、線積分、面積分、体積分の定義を復習する。 3 次元空間 (または 2 次元平面) 内の曲線を $t$ をパラメータとして

\begin{displaymath}
C:\hspace{0.5zw}P(t) (x(t),y(t),z(t))\hspace{1zw}(a\leq t\leq b)
\end{displaymath}

と表し、その位置ベクトルを $\mbox{\boldmath$r$}=\mbox{\boldmath$r$}(t)=\overrightarrow{\mathrm{OP}(t)}$ とすると、 始点 $\mathrm{P}(a)$ から $\mathrm{P}(t)$ までの弧長 $s(t)$ は、
\begin{displaymath}
s(t) = \int_a^t \vert\mbox{\boldmath$r$}'(\tau)\vert d\tau\end{displaymath} (1)

となる。なお、この $s$$t$ の代わりに $C$ のパラメータとして 取ることも多い。

$C$ 上定義された関数 $f(\mathrm{P}) = f(\mathrm{P}(t))$ に対して、 $C$ 上の $f(\mathrm{P})$ の線積分は、

\begin{displaymath}
\int_C f(\mathrm{P})dt
= \lim\sum_{j=1}^n f(\mathrm{P}_j)\Delta t_j
= \int_a^b f(\mathrm{P}(t))dt\end{displaymath} (2)

と定義され、計算される。弧長パラメータによる線積分も同様に、
\begin{displaymath}
\int_C f(\mathrm{P})ds
= \lim\sum_{j=1}^n f(\mathrm{Q}_j)...
...(\mathrm{Q}(s))ds
= \int_a^b f(\mathrm{P}(t))\frac{ds}{dt} dt\end{displaymath} (3)

により定義され、計算される。なお、

\begin{displaymath}
\mathrm{Q}(s(t)) = \mathrm{P}(t),
\hspace{1zw}L = \int_a^b\v...
...
\hspace{1zw}\frac{ds}{dt} = \vert\mbox{\boldmath$r$}'(t)\vert
\end{displaymath}

である。

3 次元空間内の曲面 $S$ を、$u$, $v$ をパラメータとして、

\begin{displaymath}
S:\hspace{0.5zw}P(u,v) (x(u,v),y(u,v),z(u,v))\hspace{1zw}((u,v)\in D)
\end{displaymath}

と表し、 その位置ベクトルを $\mbox{\boldmath$r$}(u,v)=\overrightarrow{\mathrm{OP}(u,v)}$ とすると、 その面積素 $dS$
\begin{displaymath}
dS = \left\vert\frac{\partial \mbox{\boldmath$r$}}{\partial...
...th$r$}_u\times\mbox{\boldmath$r$}_v\vert\Delta u\Delta v\right)\end{displaymath} (4)

となり、 $S$ 上定義された関数 $f(\mathrm{P}) = f(\mathrm{P}(u,v))$ に対して、 $S$ 上の $f(\mathrm{P})$ の面積分は、
\begin{displaymath}
\int_S f(\mathrm{P})dS
= \lim\sum_{j=1}^n f(\mathrm{P}_j)...
...\vert\mbox{\boldmath$r$}_u\times\mbox{\boldmath$r$}_v\vert dudv\end{displaymath} (5)

と定義され、計算される。

3 次元領域 $V$ 上で定義された関数 $f(\mathrm{P}) = f(x,y,z)$ に 対する $V$ 上の体積分は、

\begin{displaymath}
\int_V f(\mathrm{P})dv
= \lim\sum_{j=1}^n f(\mathrm{P}_j)\Delta v_j
= \int\!\!\!\int\!\!\!\int _V f(x,y,z)dxdydz\end{displaymath} (6)

と定義され、計算される。

次に、3 次元空間 (または 2 次元平面) 内の物体の重心の計算式を復習する。

曲線 $C$ が質量を持つ針金のようなものを表しているとき、 曲線上の点 P での線密度、すなわち長さ 1 あたりの 質量を $\rho(\mathrm{P})$ とすると、この $C$ の重心 G は

\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{OG}}
= \lim_n\frac{\displaystyle ...
... \hspace{1zw}(\mbox{\boldmath$r$}=\overrightarrow{\mathrm{OP}})\end{displaymath} (7)

となる。

同様に、質量を持つ曲面 $S$ の各点 P での面密度、 すなわち面積 1 あたりの質量を $\rho(\mathrm{P})$ とすると、 その $S$ の重心 G は

\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{OG}}
= \lim_n\frac{\displaystyle ...
...$r$}\rho(\mathrm{P})dS}{\displaystyle \int_S\rho(\mathrm{P})dS}\end{displaymath} (8)

となる。

また、質量を持つ 3 次元領域 $V$ の各点 P での密度、 すなわち体積 1 あたりの質量を $\rho(\mathrm{P})$ とすると、 その $V$ の重心 G は

\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{OG}}
= \lim_n\frac{\displaystyle ...
...$r$}\rho(\mathrm{P})dv}{\displaystyle \int_V\rho(\mathrm{P})dv}\end{displaymath} (9)

となる。

竹野茂治@新潟工科大学
2019-03-05